猫騒動の後、オレとアイツは寮へ戻った。
アイツは塀から猫を自力で助け(?)出すと、大切そうに抱えて学食へと戻った。
そして。オレはオレで・・・。
「ちょっとさ。助けるの手伝わなかったんだから、エサあげるのぐらい手伝ってよ!」
と、理不尽な要求をされ、やむなくついて来た。
助けるの手伝わなかったも何も、猫は助けを求めてなかったと思うのだが。
でも、まかないの飯田さんには一応「ありがとう」を言われ、コイツはご満悦な様子だったけどな。
こうして猫にエサをあげていると、
「何やってんだ?」
と言って現れたのは、オレのルームメイトだった。
まったくだ。何をやってんだろうな。オレは・・・。
親友のコイツに事のあらましを報告すると、コイツはバカウケしまくっていた。
「あはは!!塀の上に猫が・・・・へぇーーーーーー!!アハハ」
こんなくだらないダジャレにウケ過ぎだけど、
まぁ、ウケるよな。猫が塀に登ってオロオロするヤツ、見たこたぁねぇもんな。
アイツはなんで笑われてるのか、解ってないみたいだけどさ。
ルームメイトのコイツは、気さくで駄洒落好きのオレの親友。
昔はダジャレのネタ帳なんてモノを作ってたらしい、変わり者だ。
ちょっと色黒で、色気がないのが難点だが、オレとものすごーく気が合う。
「猫はフツー、塀に登るじゃん!ワケわかんねー!」
そう、極めて最もな事を言って、笑うルームメイト。
だが、猫を助けたアイツは、段々表情が不機嫌そうになってきた。
「でも!!もしかしたら落ちるかもしれないから、助けてやったんだよ!悪いかよ!!」
そう。どんなに笑われても・・・アイツ自身は至って本気だから、
自分がした事を、笑ってバカにされるのが気に食わないんだ。
アイツは猫を抱きかかえ、怒って学食を飛び出してしまった。
オレは追いかけようとするが、ルームメイトは「いいじゃん。あんなヘンなヤツ、ほっとけよ」の一点張り。
確かにヘンなヤツだけど・・・。
A そうだな。どう考えても・・・ヘンなヤツだよな。いっか、ほっといて。
B ヘンなヤツだけど、やっぱほっとけないよ。行ってくる!!