この高校に入学してから、2ヶ月が経った・・・。

その日。授業を終え寮の部屋に戻ると、
同室に住む、少女漫画部のアイツが机に伏して肩を震わせていた。
手には落選の通知が・・・。
なんの落選通知かは解らないけど、オレが声を掛けずらそうに自分の机に戻ると――。

「やぁ・・・。やっぱり、落選だったよ」

と、自嘲気味に笑った。
どうやら。漫画コンクールの落選だったみたいだ。
小学生の頃から、色んな漫画コンクールに投稿しては、選考にも残らず落選だったアイツ。
選考委員会から戻ってきた、評価も散々。
今回ばかりはさすがに落ち込んだのか、アイツは虚空を見上げて小さくため息を付いた。

「やっぱ、才能無いヤツは・・・努力してもムダなのかな・・・」

アイツが誰よりも、漫画が好きなのは知っている。
オレはいつも側で、アイツを見つめて来たからさ・・・。

でも。正直・・・あまり才能はないのかもしれない。
オレと一緒で。

もっとも、オレみたいに趣味の延長で描いてる分には、才能の良し悪しなんて問題じゃない。
だけど、アイツは自分の生活のすべてを漫画に捧げきってる・・・。
もしかしたら、諦めが肝心・・・なのかもしれない。
でも。だけど――。


A そんな事ないさ!努力すればきっといつか・・・いつか必ず、認めて貰えるさ!

B ・・・努力だけじゃ、どうすることも出来ない世界もあるよ。才能がなきゃ、やってけない世界も。悔しいけどさ・・・。