この学校に入学して、20日が過ぎた。
全寮制の男子校は、毎日が楽しいけど・・・。
時々、1人で空を見上げたくなるんだ。

オレは放課後、学校の屋上へと足を踏み入れた。
すると。すでに先客がいて・・・そこには雲と見まごう色白の、美しい少年が居た。
まるで女の子の様な、その可憐で繊細な面立ち。
儚げな美少年。彼はオレと同じ、新入生。
彼は大の字に寝っ転がり、クリッとした大きな目は、まっすぐ空を見上げてた。
ちょっと寂しげな表情。

オレは、寝っ転がる彼を、上から覗き込んだ。
.・・・なにやってるんだい?
すると、彼は大きな目を細めて、こう答えたんだ。

「日に焼いてるんだ。僕、色白で女の子みたいだから・・・みんなに軟弱って。
だから・・・ホラ。男の子は、黒くて健康的な方がいいだろ?!!」

そう言ったアイツの目は、涙で潤んでいた。

・・・・・・・。

思えば。アイツは女の子みたいに綺麗だから、
時々、クラスメイトにからかわれてるのを見かける。
本人はからかわれても笑ってたし、クラスメイトも悪気があってじゃないんだと思う。
オレもアイツを「色小姓みたいだな!」っておちょくった時あったな。
でも、本当は傷ついてたんだな――ごめん。


A そんなに美しい天鵞絨(ビロード)の肌を焼くとか勿体ないよ。ホントはみんな、綺麗なお前が羨ましいだけなんだから。

B そうだな・・・。確かに、もうちょい色黒の方が健康的だな。男は黒く逞しくだな!