白の騎士



それは例えば、コンサート終わりの楽屋。
あたしは鏡を見た瞬間に、道々考える
鏡の中にはもう一人の自分。
そっくりな顔、そっくりな笑顔。
だけど、あたしとは違う。左に八重歯のあるあたし。


鏡の向こうは正反対の世界。


そして、あたしは鏡を見た瞬間に、道々思う。
一体どっちが ホ ン ト ウ ノ セ カ イ なんだろう?と・・・。
このセカイにいるあたしがホントは偽者で、鏡の向こうにいる、左に八重歯のあるあたしが『ホントのじぶん』なんじゃないだろーか?


そんなことを考える。


もし鏡の向こうに世界があって、こことは正反対の世界が広がっているのなら、
鏡の向こうのじぶんは、きっと普通の毎日を送っているのだろうか?
芸能界にはいなかったのだろうか?フツーに遊んで、フツーに恋して、フツーの人生・・・。
今のあたしとは正反対の、フツーのあたしがいるのだろーか?


歌を捨ててフツーを生きるあたしと、フツーを捨てて歌を取ったあたしのサクリファイス。


あたしは鏡を見た瞬間に、道々問う。
ねぇ、鏡の向こうのあたし・・・。
どっちのあたしが、『ホントにしあわせ』なんだと思う??







―― 白の騎士 ――






その日の朝。街は白に包まれていた。



<White ― 1.e2-e4>

早朝の東京駅のターミナル。
悴む手を擦りながら、あたしは一番最初にバスを降りた。
そして、小さく生あくびをしながら、雪に埋もれた街を1歩2歩・・・。するとその瞬間、
「うわぁ!寒いぃぃ!!」
凍えるような北風が、ピューっと音を立てて・・・まるで雪原を駆け抜けるナイトのように、あたし達の間を駆け抜けて行ったんだ。
跳ね上げられて舞い散る粉雪と、キラキラとした結晶。
まいちゃんは手にしたホットココアの缶を握り締めながら、さっきから同じセリフばかりを口にしていた。
「もー、なんなのぉ!ちょー寒いよ!!!」
怒りを誰にぶつけるでもなく(強いて言うなら、今年の冬将軍様にぶつけてるんだろーな)、1人キレまくっているまいちゃんだけど、えりかちゃんはほんのちょっぴり呆れ顔ながらも、その気持ちはやっぱり解からなくもないらしい。
「ホント、寒いよねぇ〜今日〜!!」と呟き、白い息を吐き上げた。
真っ白な息は、真っ白な世界に同化して消えた。




今日は、ワンダフルハーツのコンサートの最終日だった。





新幹線の中。
大阪まで2時間40分の道のりだった。
あたしは、ウーロン茶とカップアイス(「この寒いのにバカじゃん、愛理」と、ちっさーに笑われたけどね)。そして、一冊の本を手に、新幹線の座席へと付いた。
新幹線の中は、まだ時間が早いので比較的すいているようだった。
あたしの後ろの席も、まだ誰も居ない。あたしは安心してリクライニングを僅かに倒した。
まぁ、寝るんだったら、もっとおもいっきし倒しちゃっても良かったんだけどね。今日は寝ないで本の続きを早く読んでおきたかったので、リクライニングを少し倒すだけに留めた。
一方、左隣の栞菜はリクライニングを大きく倒して、さっさと1人で寝てしまっている。
いつもなら「もう寝ちゃったの〜」と残念がるところだけど、今日はさっさと寝てくれてちょうどいい。
よし!これで気兼ねなく本の続きが読めるぞ・・・・・・と思い、本を半ページばかし読んだ瞬間、「ねぇねぇ、愛理。なに読んでるの?」と言う声が、予想外の逆隣りから聞こえた。
「え?」あたしがビックリして声の方向に振り向くと、通路を挟んだ右隣の席から、舞美ちゃんが不思議そうに顔を覗かせていたんだ。
「あれ、舞美ちゃん?どーしたの?」
ふと、舞美ちゃんの隣を見やると、えりかちゃんが窓にもたれ掛かってグッスリ眠っている姿が見えた。
どーやら話し相手のえりかちゃんが眠ってしまい退屈な舞美ちゃんは、通路を挟んだ逆隣のあたしを、新しい標的として選んだらしい。
間に通路があるのもお構いなし。「ねぇ、その本なに!?」と興味津々の面持ちで執拗に問いかけてくる舞美ちゃんに、あたしは思わずクスッと声を漏らした。


どーやら、本の続きはおあずけかなぁ・・・。


あたしはしおりを読みかけのページに挟むと、本をゆっくりと閉じた。閉じた本の表紙からは『鏡の国のアリス』と言うタイトルが現れた。
舞美ちゃんはそのタイトルを見て、不思議そうに小首をかしげている。
「鏡の国の・・・アリス?」
「うん、そう。学校の課題図書なの。感想文、書かなきゃ・・・」
「へぇ。大変だね・・・」
だが、「大変だね」と言うわりには、あたしに読書の続きをさせるつもりは全くないらしい。
それどころか、舞美ちゃんはオモシロい遊び道具を見つけたとばかりに、興味津々で『鏡の国のアリス』をあたしの手からひょいと抜き取った。そして、
「不思議の国のアリスなら、お話、知ってるんだけどな」と呟いた。
それに対し「そうだよね、不思議の国のアリスは有名だよね」あたしは、舞美ちゃんの呟きに同調した。
確かに、舞美ちゃんの言うとおり、あたしも課題図書で出されるまでは不思議の国のアリスしか知らなかった。
ちっちゃいとき、お母さんが買ってきたディズニーのDVDの中に『不思議の国のアリス』が入っていて、トランプの兵隊さんやハートの女王さま、帽子を被ったうさぎさんの姿が物凄く印象に残っている。
だから、『鏡の国のアリス』が課題図書に出された時、「あれ?不思議の国じゃないんだ?」と、あたしも凄くビックリしたんだった。

あたしと舞美ちゃんがそんな感じで通路越しに話し込んでいると、しばらくして、ちょっと邪魔臭そうな顔をしながら中年のオジサンが、あたしたちの間の通路を通り抜けていった。
その体からは、むせ返るほどのタバコ臭いニオイが漂ってきて、思わずあたしは顔をしかめてしまう。
多分、隣の喫煙車両に行って、一本吸ってきたんだろう。
電車に乗ってる間ぐらい吸うの我慢すればいいのになぁ・・・なーんて、あたしが思ってる間も、舞美ちゃんはずーっと物珍しそうに本の表紙を眺めていた。
そんな舞美ちゃんが、とても3つも年上のお姉さんに思えなくて、なんだか無性にオカシくなる。
きっと中身が気になって仕方ないんだろーな・・・。

「じゃぁさ、読み終わったら貸そうか?舞美ちゃん」
「え?ホントに?いいの?」
「うん。いいよ。感想文書き終わったら貸すね」
「わー。ありがとー愛理。ちょー嬉しい!!」
お世辞ではなく本当に嬉しいらしく、舞美ちゃんがニコニコ笑顔で声を裏返らせた。
なまじ『不思議の国のアリス』を知っているだけに、続編が存在してた事が舞美ちゃんにとって、よっぽどの新事実だったらしい。
「感想文を書き終わったら貸すね」と言っているにも関わらず、舞美ちゃんは中身が気になって気になって仕方がないみたいで、読みかけの『鏡の国のアリス』をペラペラと捲っていた。
とは言っても、さすがにまだ文章に目を通す気にはならないらしく、舞美ちゃんは挿絵だけを見ているようだった。
「ねぇ、愛理はどこまで読んだの?」
「ん〜とりあえず、しおりが挟んであるとこまで」
「あ、そんじゃもうすぐ読み終わるじゃん!凄いね!!」
「へへ〜凄いでしょ?」
「よくここまで読んだね〜」
感心した面持ちで本のページを捲っていく舞美ちゃん。
だが、こうしてペラペラと捲っていくうちに、思ってた以上に長そうであることを悟ったのか、舞美ちゃんの表情からさっきまでのウキウキした表情が消える。
明らかに微妙な感じで眉をしかめつつ本をめくりながら、舞美ちゃんはあたしに問いかけた。
「ねぇ、どんなお話なの・・・?」
「んーとね。アリスが鏡の国に迷い込む話」
「へぇ・・・・」
「鏡の中の世界はチェスの世界でさ、白の騎士とかハンプティダンプティとか色んな人と出合って」
「うん」
「アリスは最後、そこで白の女王様になるの」
「ふーん・・・・・・・そうなんだ」
一応あいづちを打ってはいるが、なんだかどうでも良さそうな反応。
さっきまでの興味津々な面持ちはどこへやら・・・。舞美ちゃんは「ふ〜ん」と呟きながら、新幹線のテーブルの上に置いてあったポテトチップスをポリポリと食べ始めた。
明らかに舞美ちゃんが、読む気がなくなっているのが解って、なんだかおかしくなってしまう。

「読み終わったら貸そっか?」
返答は解っていたけど、もう一度聞くだけ聞いてみる。
すると、舞美ちゃんはポテトチップスを咥えたまま、「うーん」と考え込んだ後、
「やっぱ、借りなくていいかな・・・」
「そう?」
「あらすじ聞いたしね・・・・・って言うか、ごめん。多分、あたし、絶対、凄く、読まない気がする!」
『多分・絶対・凄く』と、強調語を3つ重ねて不思議なニュアンスで表現をする舞美ちゃん。
でも、『多分』も『絶対』も『凄く』も、全部微妙に意味合いが違うからどれが本当なのかは解らないけど・・・とりあえず『読めなさそう』って事なんだろうな。
舞美ちゃんはポテトチップスを2、3個口にしたあと、あたしの方へ振り返り、そもそもの疑問を問いかけた。
「てゆっかさ、アリスって絵本じゃなかったっけ?」
「絵本もあるかもしんないけど、原作は小説だよ?だって、絵本はいくらなんでも課題図書に出ないでしょ」
「あー。それもそっか〜。なるほどねー。小説だったかぁ〜」
その舞美ちゃんの言葉から、なんで舞美ちゃんがあんなに鏡の国のアリスに興味を持ったのか?その興味が急に薄れてしまったのか?が、解った気がした。
どうやら舞美ちゃんは、『不思議の国のアリス』を昔、絵本で読んだことがあるらしかった。
だから、『鏡の国のアリス』も当然、絵本だと思っていたようだった。
それが蓋を開けてみたら思いっきり、細かい字で書かれた小説だったから、急にテンションが下がってしまったみたい。

舞美ちゃんは新幹線の座席に深く凭れかかると、紙コップに注がれていたお茶を口にした。
若干車内が乾燥しているからか、単に喉が渇いているのか、舞美ちゃんは半分ほど残っていたお茶を一気に飲み干していた。
あたしがなんの気なしに、舞美ちゃんがお茶を飲み干す姿をボーっと見つめていると、舞美ちゃんがボソッと呟いた。
「ねぇ。愛理はさ、あれ、ちゃんとしおりの位置まで読んだんでしょ?」
「うん。もうちょっとで読み終わるから、新幹線の中で読んじゃうよ」
「そっか・・・」
そして。
舞美ちゃんは座席に凭れかかったままあたしの方へ振り向くと、しみじみとした声で呟いたんだ。
「愛理は偉いねー」
そんな舞美ちゃんが、なんだかおかしくておかしくて、あたしは声をあげて笑ってしまった。






<White ― 2.Bf1-d3>

会場に到着すると、すぐに本番直前のリハが行われる事になった。
あたしたちはジャージに着替え、すぐさま会場のステージへと向かう。
立ち位置の確認と音あわせ。
7人でステージの中央に立つと、目の前には誰も居ない会場の風景が広がった。
随分とライブに慣れ、随分と緊張しなくなってきたあたしだけど。何故か、リハのこの瞬間が、あたしは一番緊張する。
今は誰も居ない会場だけど、数時間後には会場中に、目いっぱいのお客さんがあふれかえるんだ。
みんな、あたしたちを見るためにワザワザお金を払って、各地から来てくれる。この会場を埋め尽くすお客さんが・・・。
それは何事にも変えがたいプレッシャーだった。

「もうすぐ本番だね〜」
誰もいない客席をステージから見つめていると、ふと後ろの方から声をかけられた。
あたしが左後ろに振り返ると、そう言ってあたしに声をかけてきたのはなっきぃだった。
なっきぃは左後ろに立ち止まったまま、オデコに手をあて、誰もいない客席を見渡し、呟いた。
「わたしね、開場前のこの風景、好きなんだ〜」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「誰もいない会場がさ、わたし達を見に来たお客さんで埋まるんだよ?ワクワクするよね」
「そうだね」
あたしはなっきぃの言葉にコクリと頷く。
開場前のこの風景を見てドキドキ緊張するあたしと、この風景を見てワクワク楽しくなるなっきぃ。
あたしたちの感覚そのものは違うけど、開場前のこの風景に特別な思いを感じているのは一緒。
そう思うと、なんだか嬉しくなった。

しばらくの間、2人で無言のまま客席を見渡す。
まだ誰もいない。スタッフさんの声だけが響き渡る会場内。
すると、なっきぃが小さなため息と一緒に、ポツリと呟いたんだ。
「でも、ワンダフルハーツで23人かぁ。多いよね・・・」
「え?」
突然のなっきぃの言葉にあたしが目を丸くして振り返ると、なっきぃはクスクスと笑う。
よっぽどあたしはビックリした顔をしてたのだろう「ちょっとぉ、顔崩れてるよ〜」と言ってあたしの頭をポンポンと二度叩く。
そしてなっきぃは振り返るあたしの顔を見つめたまま、こう問いかけた。
「ねぇ、愛理。もしもさ、ここを1人で埋められたら、スゴくない?」
「1人で?」
「うん。今日は23人だけどさ・・・もし、ソロになったら、ここを1人で埋めなきゃいけないんだよ?」
「ソロになったら・・・?」
突然のなっきぃの言葉に、あたしは呆然とした面持ちのまま、再び客席に目を向けた。
1階席の最前列から、3階席の一番後ろまで・・・。
2000?もっと入るのかな・・・?
ソロになったらここを1人で埋める。考えた事もなかった。
「ねぇ?愛理は・・・ソロになりたいって思った事、ある?」
「あたしは・・・」
そう言ったきり、あたしは3階席の遥か後ろを見つめながら、口を噤んだ。
どうだろう?ソロになりたいなんて思った事、あったけかな?
あぁ、小さい頃はなりたかったかも。
BoAさんに憧れて、1人で歌って、あんなカッコイイダンスを踊って・・・って。
でも、℃‐uteになってからは思いもしなかった。そもそも、そんなの考える余裕もなかったのかもしれない。
「ねぇ・・・なっきぃは?」
そんな事をあたしに聞くって事は、なっきぃは考えた事あるのかな?
そう思ってなっきぃに問い返したけど、予想外な事に、なっきぃは「まさかぁ〜」と言って大きくかぶりを振っていた。
「わたしがそんな事、思うわけないじゃん!ムリだよ〜!!」

そして、なっきぃは小さく息を吐くと、客席を見つめて目を細めた。
その目線が何処を向いてるのかはよく解らなかったけど、あたしもその目線の先を追って客席をみつめる。
しばらく2人であてどころ無く客席を見つめていると、なっきぃがゆっくりと、こう答えたんだ。
「そうだなぁ〜。安倍さんや松浦さんに成れるなら、ソロに成りたい・・・かな」
「え?」
「ホラ!誰もが、女王様になれるワケじゃないじゃん」
「・・・・・・・・・・・・」
何故、なっきぃが女王様と言う例えを使ったのか・・・・・・それが偶然なのか必然なのかは解からないけど。
なっきぃが使った『女王様』と言う言葉が、あたしの心の中に強く残ったのは確かだった。
「女王・・・様?」
「うん。安倍さんとか松浦さんとか、オーラが凄いじゃん。ハロプロの世界の女王様って感じしない?」
「そう、だね。確かにそんな感じかも・・・」
「でしょ?」
あたしが同調すると、なっきぃは嬉しそうに微笑む。
そして何かを確認するように頷くと、なっきぃはそのまま言葉をつづけた。
「でもさぁ、ソロになれば誰もが女王様になれるワケじゃないじゃん」
「・・・・・・・・・・・・」
「特に私なんてムリだよ。絶対成れないもん。だったらずーっと、このまま℃‐uteのメンバーで居たほうがいいと思ってるし」
「・・・・・・・・・・・・」
「でも、愛理なら成れると思うよ。いつか絶対!」
そう言って楽しそうに笑っているなっきぃ。
だけど、そう言われてもあたしはどう反応していいのか解らなかった。
すると、あたしが反応に困ってる事に気づいたのか、なっきぃはクスッと微笑むと、「まぁ、でも。わたしも、成れるなら成りたいかな。女王様に」と言ってあたしの肩をポンッと叩いた。
「1人でこの会場を埋め尽くせたら、絶対気持ちいいよねぇ〜」
そう言って、客席を眺めるなっきぃ。
あたしも同じ様にぼんやりと、誰も居ない客席をじーっと見つめていた。


誰もが女王様になれるワケじゃない・・・。


じゃぁ、あたしはどうなんだろう?
あたしはなっきぃの言うとおり、本当にこのハロプロの世界で女王様になれるのだろうか?






<White ― 3.Ng1-f3>

昼公演が終わった。
お腹がすいてご飯を食べてるメンバー、昼公演のお話で盛り上がっているメンバー。
楽屋の中は騒がしいメンバー達の声で喧騒としていた。
「はぁ〜。疲れたーーー」
あたしはタオルを首にかけ、汗だくのまま、楽屋の鏡の前に腰をかける。
疲労した自分。髪の毛ボッサボサのTシャツ姿のあたし
そして目の前の鏡の中にも、疲れきった、左に八重歯のあるあたし。

鏡の中は正反対の世界――。

もしも鏡の中に正反対の世界が広がっているのなら、鏡の中のあたしはきっとフツーの女の子。
こんなに髪の毛ボサボサにして疲れきっているのも、きっと友達と一日中遊んでいたからなんだろう・・・。

「鏡の中に映る、フツーの人生のあたし」と「いつかは女王様になりたいよね」との、なっきぃの言葉。

あたしが本当に望んでるのは、どっちなんだろーな?


鏡越しに、まいちゃんとちっさーが遊んでいる姿が見える。
栞菜がえりかちゃんと笑っている姿が見える。
なっきぃが楽屋に遊びに来ている佐紀ちゃんと話している姿が見える。
やがて、ちっさーがまいちゃんに抱きつきながら「疲れたねー」と言った。「でも、夜もあるから頑張んなきゃね!」と笑う、大人びたまいちゃん。
あぁ、そっか。まだ夜公演もあるんだったっけ・・・。
あたしは鏡に映る自分を見つめる。目の前には疲れきっている自分。
でも、疲れているけどやらなきゃいけない。パスは決して許されない。
逃げることが許されないあたしたちは、ツーク・ツワンク。



こうして、あたしが鏡をじっと見つめていると・・・。
突然鏡に舞美ちゃんの顔が映り込んだ。
ハッとして右後ろを振り返ると、すぐそこに舞美ちゃんが立っていたんだ。
「お疲れ、愛理」
「うん、おつかれ〜」
あたしは笑顔で答える。それは、なんでもない会話。
だけど、舞美ちゃんはなんだか神妙な面持ちだった・・・。
「なに?どーしたの?舞美ちゃん」思わずあたしが席から立ち上がり問いかけると、舞美ちゃんはゆっくりとあたしの前に立った。
そして、「ねぇ、ちょっとだけ話があるの・・・」と言う。
その目はなんだか凄く真剣で、あたしはいつもと違う舞美ちゃんの様子に、ホンの少しだけ躊躇いを覚えた。





White ― 4.Nf3‐e5>

楽屋ではちょっと・・・と舞美ちゃんに言われ、あたしと舞美ちゃんは会場の屋上に来た。
外は随分と日が傾いていて、Tシャツにジャージを羽織っただけでは、肌寒さを感じるほどだった。
「あんま柵の方に行かないほうがいいよね、お客さんから見えちゃうし・・・」
そう言いながら、あたしは柵からかなり離れた場所に立ち止まった。
昼公演と夜公演の間。会場前の公園にはお客さんが沢山いて、その賑やかな声が屋上まで届いていた。
風が屋上をぴゅーっと吹き抜ける。
あたしは手を擦りながら、自分の手にハァ〜と息を吹きかけ、正面に立つ舞美ちゃんを見つめる。
あたしと同じ、Tシャツにジャージを羽織っただけの舞美ちゃん。でも、舞美ちゃんはそれほど寒さは感じてないみたい。
寒そうにクネクネしてるあたしとは裏腹に、舞美ちゃんはあたしの正面に立つと、身動きひとつせずにあたしの顔だけを見つめていた。
いつもの笑顔の舞美ちゃんとは違う、そのあまりに真剣な眼差しに、何を言われるのかちょっとだけ怖くなる。
基本大らかな舞美ちゃんだけど、やっぱり年上だしリーダーだし。なんか説教でもされるのかな・・・僅かに不安が過ぎる。
何か悪い事したかな?あたし。
前に舞美ちゃんのもってきたポテトチップスを、ちっさーとこっそり食べちゃったのがバレたかな?
まいちゃんがお茶をこぼしたとき、近くにあった舞美ちゃんの汗でびしょぬれのタオルで、こっそり拭いたのがバレちゃったのかな?
あ・・・もしかして。前にえりかちゃんと「舞美ちゃんってハート似合わないよね」とか、こっそり言ってたのがバレたのかな?!
考えてみると、舞美ちゃんに叱られる事を意外としているあたし。
その中から何を怒られるのか怖くなり、あたしは舞美ちゃんを正面に、思わず目を瞑り、身構えた。
だけど。
そんな舞美ちゃんの口から発せられた言葉は、説教なんかではなく、あたしが予想だにしない言葉であった。

「あのさ、愛理・・・。まさか、℃‐uteを卒業しないよね?」
「・・・・はぁ??」
舞美ちゃんの言葉に、あたしは瞑ってた目をおっきく見開く。
怒られることを前提に身構えていただけに、舞美ちゃんの突拍子もない言葉に、思わず素っ頓狂な声をあげてしまったあたし。
だけど、そんな拍子抜けしてるあたしとは裏腹に、舞美ちゃんは物凄く真剣な顔と口調で、言葉を続けていたんだ。
「だって!リハーサルのとき、なっきぃと話してたじゃん。ソロがどーとか・・・」
「あ・・・」
「ねぇ、ソロになったりしないよね?ヤダよ・・・めぐみたく、愛理がいなくなっちゃったら!」
ひたすら必死に意見する舞美ちゃん。
その言葉を聞き、ようやくあたしは舞美ちゃんの意図が掴めた気がした。

そっか。
あの時のなっきぃとの会話、聞いてたんだ?舞美ちゃん・・・。

目の前には、物凄くオロオロした様子であたしの顔を伺っている舞美ちゃん。そんな舞美ちゃんを見て、なんだか無性におかしくなる。
気にしなくていいのに。なんてことない、ただの雑談なのにな。
「そんなワケないじゃん」
あたしはニコヤカに笑う。
そんなワケない。ソロになんかならない。だって、誰でも女王様になれるわけじゃないでしょ?
「それに・・・。もしなるなら、最初にリーダーの舞美ちゃんに相談してるでしょ?」
「まぁ、それはそうだけど。ホラ、あたし、あんまり頼りないから、なっきぃに相談してるのかなーって」
「そんなこと無いよ。あたしたちすごく頼りにしてるよ、舞美ちゃんの事」
別にお世辞とかじゃなく、素直な意見。おっちょこちょいで天然な舞美ちゃんだけど、みんな頼りにしてる。それはホントウ。
すると、舞美ちゃんの表情がぱぁっと明るくなる。
あたしが「ソロにならない」と言う言葉に安心したのか、「頼りにしてる」と言う言葉に安心したのか。
さっきまでの不安そうな表情とは一転して、舞美ちゃんはニコニコ笑顔を振りまいていた。
年上のリーダーを「頼りにしてる」のはホントだけど、いい事があるとすぐに笑顔が溢れる単純な舞美ちゃんを「カワイイなぁ」って思ってたりもする。
まぁ、年下にカワイイ扱いされるのも失礼な話だから、これはナイショだけどね。

「ともかく。あたし、℃‐ute好きだから辞めたりなんかしないよ。安心して・・・」
確認させるようにあたしが言うと、舞美ちゃんは再び真剣な表情になり、うんうんと頷いた。
だけど、最初の切羽詰った感じの真剣な表情ではなく、どこかホッとしたような柔らかさを孕んだ眼差しだった。
「そうだよね。辞めたりなんかしないよね・・・」
「うん、絶対しないよ。すると思う?あたしが?」
「ううん。リハの段階ではそんな事ないとは思ったんだけど。でも、なんか愛理。さっき鏡見てたとき、元気なかったじゃん」
「・・・・・・・・・・・」
「だからなんか、急に心配になっちゃって・・・」
確かに。昼上がりはなんだか妙に疲れちゃって、頭の中で色んな思いがグルグルとしてたんだ。
ホントウにこんな毎日が幸せなのかな?って。
・・・・・・・・。
でも、凄く心配させてしまった舞美ちゃんには申しわけないけど。
そんなあたしを見て心配してくれた事が、あたしはなんだか嬉しくて、くすぐったくて、悪い気がしなかった。
「辞めたいとか、そんなの考えてたワケじゃないんだけど・・・ね」
なんとなく、あたしは舞美ちゃんに話してみたくなったんだ。
「鏡の国のアリスを読みはじめて以来かな?なんかね、鏡を見ると色々と考えちゃうんだ」


鏡の中に違う世界がある話。
そして、鏡の中はこことはアベコベの世界が広がっている。
だからきっと、鏡の中のあたしは、あたしとは正反対の、芸能界にはいないフツーの女の子。
そんなもう1人のあたしを見て、あたしは思うんだ。
いったいどっちのあたしが、ホントウにシアワセなんだろう?って・・・。


思っていた事をひと通り語る。
舞美ちゃんは笑いもせず、バカにすることもなく、あたしの話を真剣に聞いてくれた。
しょーじき、ちんぷんかんぷんなお話なのにね、舞美ちゃんはなんか一生懸命考えてくれている。
それだけでも、「舞美ちゃんに話して良かったな〜」と思えたんだ。
舞美ちゃんはあたしの正面に立ったまま、難しそうに虚空を見上げた。
夕日の逆光で舞美ちゃんに影が差し、普段から大人っぽい顔の舞美ちゃんがさらに大人びて見える。
舞美ちゃんはそんな感じで1分ほど、考えあぐねるように虚空に目線を泳がせていたが、フッと口角を上げ、目線をあたしの目にあわせた。
そして・・・。
「どっちの世界の愛理の方が幸せなのかは、あたしには良く解からないけど・・・」
そう前置きしたあと、舞美ちゃんはあたしにこう答えてくれたんだ。
「だとしたらあたしは、こっちの世界のあたしでよかったかな!!」
「え?」
突然の舞美ちゃんの言葉に目を丸くするあたし。
舞美ちゃんはニコヤカにはにかんだ後、夕日の逆光の中で力強く答えた。
「だってさ、向こうの世界の愛理はフツーの子なんでしょ?それじゃ、向こうの世界のあたしは愛理の歌が聴けないじゃん」
「あ・・・・・・」
「それに。向こうの世界のあたしは、それじゃ愛理と出会えてないじゃん!」
向こうの世界のあたしはフツーの女の子。
歌なんて歌っていない。
だから勿論、℃-uteにもいる事はない・・・。
「そんなのヤダ!こっちの世界で良かった。こっちの世界のあたしのが絶対シアワセ!こっちのあたし、サイコー!!」
そう言うと舞美ちゃんは、すっごく嬉しそうに両手でダブルピースをした。
そんな舞美ちゃんの不思議なテンションに、あたしはしばらくポカーンと目を丸くするが、なんだか段々オカシくなり、クスクスと笑い出す。
そしてついに耐え切れなくなり、アハハと声を出して笑うと、舞美ちゃんもあたしと一緒に声に出して笑った。

夕日の中に響き渡る、あたしたちの笑い声。

2人でお腹が苦しくなるまで笑い続けた後、舞美ちゃんは気持ちを落ち着けるようにハァ〜と息を吐くと、あたしを見つめて笑顔で言ったんだ。
「なんだろ?愛理といるとね。あたし、元気になるんだ!!」
「元気に・・・なる?」
「うん!なんか、元気づけられる!!」



――拙者は元気づけられる。



白の騎士を思い出す。
それは鏡の国のアリスで、白の騎士がアリスにお別れのときに言った言葉だった。
拙者は元気づけられる・・・。
その言葉を聞いた瞬間ね、あたしは無意識のうちに、舞美ちゃんにこう言っていたんだ。
「ねぇ、舞美ちゃん。一緒に歌わない?」
「え?」
舞美ちゃんは突然のあたしの提案に物凄くビックリしていたけど、すぐにそのビックリは笑顔になって「うん、いいよ」と笑った。
そんな舞美ちゃんを見て、あたしも笑顔で頷く。
「ねぇ、舞美ちゃん。なに歌いたい?」
「ん〜?なんでもいいよ」
「舞美ちゃんの好きなの選んでいいよ」
あたしが言うと、舞美ちゃんは「うーん」と上空を見て7,8秒悩んだ後、パチンと指を鳴らして答えた。
「うーん。じゃぁ!ほめられ伸び子!」
「えっ!なんで?!よりによってその歌を選ぶの〜!?」
あたしはそれがおかしくておかしくて、おもいっきり吹きだしてしまったんだ。




White ― 5.Ne5‐g6>

風が頬を掠めた。舞美ちゃんはゆるやかに歩く。
あたしの前から右斜めに1歩、2歩・・・ゆっくりと離れる舞美ちゃん。
そして正面から舞美ちゃんがいなくなった瞬間、背の高い舞美ちゃんの影になっていたのか、眼も眩むような夕日が一気に差込んできて、あたしは一瞬眼をつぐんだ。
おでこに手をかざし、しばし空を見上げる。
オレンジの絵の具を散らばしたような、美しい空のキャンバス。
そこから差し込んでくる夕日がキラキラと舞美ちゃんを照らしていて、それはまるでスポットライトのように見えた。
やがて、舞美ちゃんはゆっくりとメロディを口ずさむ。
凄くかっこいいメロディで、だけどなんだかヘンテコな歌詞を、夕日のスポットライトの中で歌う舞美ちゃんの姿。
そのオレンジ色の空も、舞美ちゃんの穏やかで優しい目も・・・。
その時の光景は、まるで美術の授業で先生から教わった、ミレーの風景画の様に綺麗だった。
そして、初めて見るはずの、その光景だけど・・・。
つい最近、この光景がどこかで見たことのある光景だなと不思議に思い、あたしは「あっ・・・」と小さく声を上げた。
「そっか鏡の国のアリスだ・・・」
白の騎士がアリスに歌を聞かせるシーン。
今、目の前で繰り広げられている、どこか幻想的で物悲しい風景は、彼らのホンの数ページ足らずの・・・
だけど、アリスが旅の中で「もっとも忘れることの出来ない」と言った、最高に素敵な思い出の1コマ。

吹き抜ける風と、風に靡く舞美ちゃんの髪の毛。
あたしは無言のまま、ぼんやりと舞美ちゃんを見つめた。
白の騎士は歌う。
心に焼き付いて消えない幻想的な光景の中、歌は夕日の中へと融けて行った。





White ― 6.e4‐e5>

舞美ちゃんは曲の1番をひと通り歌うと、なんだか照れくさそうにはにかみながら、あたしの方へと振り返った。
「・・・・・・って、愛理。一緒に歌ってよー!なんであたしだけ歌ってんの?!」
「やだ、恥ずかしいもん」そう言って、クスクスと笑うあたし。
「恥ずかしいって・・・歌おうって言ったの愛理じゃん!!」
「そうだけど、その曲選んだのは舞美ちゃんじゃん」
「ひどいな〜。好きな曲選んでって、いったくせに〜」
口調は怒っていたけど、舞美ちゃんの顔は楽しそうに笑っていた。
あたしは一歩だけ、舞美ちゃんに近づいた。舞美ちゃんの髪がキラキラと夕日に輝く。
舞美ちゃんの笑顔も同じくらいキラキラしていた。
「ホント・・・舞美ちゃんって、おもしろいよね」
そう言って舞美ちゃんの顔を見上げると、舞美ちゃんは「そっかな?」と呟いて肩をすくめた。
あたしは「ホント、おもしろいよ・・・」と繰り返した後、舞美ちゃんの顔を覗きこんで言ったんだ。
「舞美ちゃんって、なんかね。ちょっと白の騎士みたい」
「え?なに、それ」
「鏡の国のアリスに出てくるの・・・」
なんだかキョトンとあたしを見つめている舞美ちゃん。
白の騎士と言われてもピンとこないらしい舞美ちゃんに、あたしはオーバーなほどのリアクションで両手を広げ、スッペシャルな笑顔で答えた。
「白の騎士はね、すっごーく優しくてね、綺麗な目をした、とってもステキな人なんだよ!!」
「え?ホントに?!」それを聞き、すっごく嬉しそうな舞美ちゃん。「なんか照れるなぁ〜」なーんて言って、頭をかいている。
それがあまりにも嬉しそうで、あたしは素直な舞美ちゃんの反応に思わず笑ってしまう。
そして、クスクスと笑いながら、あたしはイタズラっぽく言葉を続けた。
「でもね。すっごいマヌケでヘンでマイペースで、すぐに馬から落っこちちゃうよーな、おっちょこちょいな人なの」
「やだー。そんなほめると伸びちゃうよ!!」
「いや・・・最後はあんまりほめてないと思うけど・・・」
なんて言うか・・・。ホント、白の騎士そっくりだよね。
素直で天然でマイペースな舞美ちゃんに、あたしは楽しくて楽しくて、いつまでも声に出して笑ってしまった。


そう・・・あたしね。鏡の国のアリスを見て、ずっと不思議に思ってたんだ。
アリスはあんなヘンテコな世界に迷い込んでしまい、不安には思わなかったのかな?怖くなかったのかな?って。すっごく不思議に思っていた。
でも。あのヘンテコな世界に迷い込まなければ、アリスは白い騎士に出会う事も出来なかったんだなぁ〜。
そして、あたしも。
このハロプロなんてヘンテコな世界に迷い込まなければ、舞美ちゃんに出会うこともなかった。





<White―7.e5×f6>

舞美ちゃんと一緒――。
そう思うと、色んな悩みや不安は不思議なぐらい消えた。どんな敵や困難が立ちはだかろうとも、勝てちゃう気がした。
あたしは舞美ちゃんの隣にピョコンと並ぶと、屋上の柵からちょっとだけ顔を覗かせて(みんなに見つからないようにね)地上を見下ろした。
そこにはビックリするぐらい沢山の人が居て、彼らはみんな自分たちのライブを見に来てるんだなぁ〜って思ったけど、怖くはなかった。
「じゃぁ。みんなが待ってるし、もうそろそろ行かないとね、舞美ちゃん」
あたしが問うと、舞美ちゃんはハッとした表情を浮かべる。
「え?・・・・・あ!そうだ!まだ夜公演があるんだっけ!ヤバ!こんなトコでサボってたらまいちゃんに怒られる!!」
「あはは。自称リーダー、しっかりぃ!」
「ちょっと!それ、ももじゃん!!あたしは自称じゃないでしょ〜!!」
あたしのおちゃらけて言った言葉に、舞美ちゃんは「もー!」と言って、楽しそうに膨れっ面を浮かべ睨みつけた。
そして――。
「よし!・・・じゃ、帰ろっか。愛理」
そう言って舞美ちゃんが手を差し出してきたので、あたしは頷き、その手をギュッと握る。
寒空の中にいたからあたしの手はすっかり冷え切っていたけど、なんだか舞美ちゃんの手は暖かかった。
昔。手が冷たい人は心が温かいと聞いた事があったけど、手が暖かい人はもっともっともっと!心も温かいんだなぁ〜と、あたしは思ったんだ。




結局――。
こっちの世界のあたしと、鏡の世界のあたし。
正反対の人生をおくるあたしたち。
そんなあたしたちの、どっちが「ホントにしあわせ」なのかは解らないままだった。
この結論は、きっと誰にも解らないんだと思う。これはきっと、永遠に悩み続けるあたし達の千日手(パペチュアル)なんだろうな・・・。

でもね。あたし、今回の事でひとつだけ解ったことがあるんだぁ。
それは、この世界には舞美ちゃんがいて、℃‐uteのメンバーがいて、ハローの仲間たちがいて。この世界に迷い込まなければ、あたしはみんなに出会う事が出来なかったって事!
どっちのあたしの方が、より幸せなのかは結局わからないままだけど、少なくとも、今のあたしは「幸せだな〜!」って思う。
それでいいじゃん・・・ねっ。

ハローの世界。
不安だらけのヘンテコな世界。
この世界で、あたしもいつかは・・・アリスのように。白の女王様になりたいかな?
ハロプロの女王様になれたらいいなぁ〜。

だけど、それはきっと先のお話。プロモーションは遥か未来。

今はまだ、この場所で・・・。
舞美ちゃんや℃‐uteのみんなと、しばらくずーっと、このまま、ここで――。



<White―8.f6-f7 stalemate!



ちょっと・・・あとがき。