縁夷逗学園の修学旅行3日目 ―有原©栞菜の恋―  



あれは修学旅行の2日目の事でした。
わたし、二年坂を歩いていてびっくりしちゃったんです!!
だって・・・二年坂から少し曲がった先の龍馬坂。
そこで嗣永さんが、まるで白馬に乗った王子様の様に、地元のヤンキー達を相手に一網打尽にしてるんですもの!!
わたし、有原栞菜。嗣永さんを見てると、なんだかジュンとしちゃいました©




AM 6:30 旅館ロビー


ノk|‘−‘)<・・・・・・・。

ノk|*‘−‘)<ハァ・・・。

ここは旅館 『柴田』のフロントロビー。
有原栞菜は売店で、京都限定牛乳『めぐミル姉さん(制作会社ムメ コーポレーション)』を購入した後、
ロビーのソファに座りながら、1人ため息をついていた。


一方――。


縁夷逗学園の生徒の誰もマトモに参加してない「朝のラジオ体操(自由参加)」に、
メチャメチャ張り切って参加した体育会系の矢島と、良い子の鈴木。
2人はラジオ体操の会場(道浄寺境内前)から戻りがてら、『どのラジオ体操のフリが好きか』を熱く語り合うのでした。


川*・ゥ・)||∩<ねぇ!やっぱ、ラジオ体操は第2だよね!!

川*・ゥ・)||<手足の運動が燃えるよね!!あのガニ股っぷり、サイコー!!

州 ´・ v ・)<えーーーそうかなー?

州 ´・ v ・)つ<私は第1が好きかなー。

州 ´・ v ・)∩<「ねじって大きく!ねじって大きく!」が楽しいよ!!

川;・ゥ・)||<えー?!なんでー?絶対第2だよ!!

川;・ゥ・)||<ってか、第1だったら、楽しいのは「大きく胸を開いてー!!」だよ!!

州;´・ v ・)つ<ウッソだぁ!絶対、「ねじって大きく!」だよ!!!舞美ちゃんがオカシイんだよ!!

川*・ゥ・)||つ<オカシクないよ!そっちがオカシイんだよ!!

州#´・ v ・)∩<違うよ!第2体操なんて、あんな恥ずかしい動き好きな人、舞美ちゃんぐらいだもん!!

川;・ゥ・)||<あーそう!そう言うこと言うんだ?!・・・・・・じゃぁ、解った!!

川#・ゥ・)||∩<こーなったら、誰かに聞こーよ!どれが好きか、誰かに聞こうぜー!!


そんな感じで。
朝の6時半から『どのラジオ体操のフリが好きか』で盛大に揉めている、矢島と鈴木。
だが、「誰かに聞こうぜー!」も何も、ラジオ体操に参加しているのが如何せん、この2人だけなので、
誰かに聞こうにも、周りに人がいないので誰にも聞けそうもないのでした。
そんなこんなで終わらない言い争いをしながら、お寺から旅館のロビーまで戻ってきた矢島と鈴木。

すると――。

ロビーの大型TVの前で「おはようゲートボール」を見ながらしきりにため息をついている、
有原栞菜の姿を目撃するのでした。
2人は「標的発見!」とばかりに、渋谷のアンケート調査のオバサンが如く、有原の元へワサワサと群がります。


川*・ゥ・)||つ<あーーー!栞菜いいトコにいた!!

州 ´・ v ・)∩<ねぇねぇ、栞菜ちゃんはラジオ体操のフリ、どこが好き?

州*´・ v ・)<ずえーーーったい、「ねじって大きく!」だよね!!

川 ・ゥ・)||∩<違うっての!!「手足の運動〜1,2,3,4」に決まってるっての!!

川*・ゥ・)||つ<ね!栞菜!!

州 ´・ v ・)つ<違うよ!ねじって大きくでしょ?ねじって大きくだよね?!!

ノk|‘−‘)<・・・・・・・。

州 ´・ v ・)<?? ん?栞菜?

ノk|‘−‘)<・・・・・・・。


だが、完全に上の空の有原。
せっかくの「おはようゲートボール」での武村さん(74歳)のナイスショットも、全く目に入っていない様子でした。
「めぐミル姉さん」も2・3口しか飲んでない様子。
すっかり心ここにあらずでため息ばっかりついています。
そんな有原の様子を不思議に思った矢島と鈴木は、有原の目の前で手を軽く振り下ろします。


川;・ゥ・)||つ〃<もしもーーし。栞菜?

州;´・ v ・)つ<起きてますかー??

ノk|‘−‘)<・・・・・・・。

Σ ノk|‘−‘)<ん・・・え?

ノk|;‘−‘)∩<あ、あれ?え?!な、なに??あれ?

ノk|;‘−‘)<ど、どうしたの?2人揃って?


知らぬ間に自分の周りを取り囲んでいた矢島と鈴木。
「あれ?いつの間に?」と有原はアセアセしながらも、2人に問いかけるのでした。


川*・ゥ・)||<どうしたも何も、さっきから話しかけてたじゃん。

ノk|;‘−‘)<あ、そう?・・・そ、そうだよね。

ノk|;‘−‘)つ<ごめん、ごめん、ちょっとボーっとしてた。

州 ´・ v ・)<ならいいけど。

州 ´・ v ・)∩<ねぇ、それより。栞菜ちゃんは(ラジオ体操のパート)どこが好き?


ドキッ!!
 ノk|*‘−‘)<え?!!


ノk|*‘−‘)つ<え?え?ど、どこが好きって・・・えっと?

川*・ゥ・)||<栞菜も(ラジオ体操)好きでしょ?

ノk|;‘−‘)つ〃<す、好きって、そんな。あ、あたし・・・。

ノk|*‘−‘)<そ、そんな事急に聞かれても――。

ノk|*‘−‘)<・・・・・・・・。

ノk|*‘−‘)<す、好きだよ。

州 ´・ v ・)<ならいいじゃん!教えてよ!!

州 ´・ v ・)∩<わたし達も大好きなんだし!!

ノk|;‘−‘)つ<え?愛理も好きなの??

州*´・ v ・)<うん!大好き!!!!(ラジオ体操)

川*・ゥ・)||<私も大好きだよ〜!!!

ノk|;‘−‘)<舞美ちゃんまで・・・。

ノk|‘−‘)<・・・・・・。

ノk|*‘−‘)<そっか、やっぱり人気あるんだね。爽やかだもんね。

川*・ゥ・)||<うん、爽やかだよね!!!(朝のラジオ体操)

州 ´・ v ・)∩<だから栞菜も恥ずかしがらずに。ねぇ、教えてよ!(ラジオ体操)どこが好き?

ノk|‘−‘)<う、うん。

ノk|‘−‘)<あ、あたし・・・。

ノk|‘−‘)<・・・・・・・・。

ノk|;‘−‘)<あ、あの。

ノk|;‘−‘)つ<・・・・・・・あ、あたしは。

ノk|*∩−∩)<つ、嗣永さんの全てが好きなんです!!!

川*・ゥ・)||<へーーー。そうなんだ?

州*´・ v ・)<そっか、栞菜ちゃんは嗣永さんの全てが・・・

川 ・ゥ・)||<・・・・・・・・・。

州 ´・ v ・)<・・・・・・・・・。

Σ 川l|l・ゥ・)|| Σ 州l|l´・ v ・)つ、嗣永ぁあああああああ?!!!


爽やかな京都の朝に矢島と鈴木の咆哮が響き渡ります。
「どうしよう!栞菜が頭おかしくなっちゃったよー!!」
2人はすっかり、ラジオ体操の際の心地よい風を忘れ、
有原を連れ仲間達の下へと、泣きながら駆け出して行くのでありました。


ノk|‘−‘)∩<私の恋は続きます!