PM 15:30 清水坂


―菅谷チーム(健気な2人チーム)―


ノリo´ ゥ`リつ<見てごらん、梨沙子ちゃん

ノリo´ ゥ`リ<この坂を上り切った先・・・

ノリo‘ ゥ‘リ<その先に清水寺の仁王門が見えるでしょ?

州*‘ o‘リ<わーー!!ホントだぁ!!


菅谷は久住の先導の元、
裏道を通って嗣永たちよりも先に、清水寺の仁王門手前まで到着していたのでした。
色鮮やかな朱色の門が、荘厳に佇むのでありました。


州*‘ o‘リ<良かった。ちゃんと到着出来たーー!!!

州*‘ ‐‘リつ<ありがとうね、小春ちゃん!!

ノリo´ ゥ`リ<ううん、気にしないで。

ノリo‘ ゥ‘リ<私も気晴らしに散歩できて嬉しかった。

ノリ*‘ ゥ‘リつ<せっかくのお休みに、ずっとお店のお手伝いじゃ、疲れちゃうもん

州*‘ o‘リ∩<いつもお店、手伝ってるの?

ノリo‘ ゥ‘リ<休みの日だけね。

州*‘ ‐‘リ<偉いね〜

ノリo´ ゥ`リつ<そんな事ないよ。わりと自由にサボれるし

ノリo´ ゥ`リ<今だってサボってるしね〜

州*‘ o‘リつ<それでもやっぱり偉いよー

ノリo´ ゥ`リ<・・・・・・ありがとう


仁王門を臨みながら、
門前町の行き交う人ごみの中、2人はしばしの間佇みます。
そして――


ノリo´ ゥ`リ<・・・・・・・・・・・・・。

ノリo‘ ゥ‘リ<ねぇ、まだ集合時間までちょっと時間あるよね?

州*‘ ‐‘リ<うん!!確か仁王門に4時10分の集合だったから・・・

州*‘ o‘リ<まだ、時間あるよー。

ノリo‘ ゥ‘リ<そっか・・・

ノリo‘ ゥ‘リ<・・・・・・・・・・・・・。


不意に押し黙る久住。
菅谷はちょこんと小首をかしげ、
不思議そうに顔を覗きこむのでした。


州*‘ ‐‘リ<どうしたの?小春ちゃん・・・

ノリo‘ ゥ‘リ<うん。

ノリo‘ ゥ‘リつ<・・・・・・ねぇ?もうちょっとだけ、私に付き合ってくれないかな?梨沙子ちゃん

州*‘ o‘リ<え?

ノリo´ ゥ`リ<梨沙子ちゃんにね、案内してあげたい場所があるの・・・

ノリo‘ ゥ‘リつ<すっごい、景色が綺麗なんだよ?

州*‘ o‘リ<え?ホントに??

州*‘ o‘リ∩<行きたい!すっごい、行きたい!

ノリo‘ ゥ‘リ<うん!

ノリo‘ ゥ‘リつ<じゃぁ、こっち来て・・・梨沙子ちゃん!!


そう言って、
久住は菅谷の手を取ります。
そして2人は観光客で賑わう清水坂から、裏通りに向かうのでした。
裏通りに入り、お店とお店の間を縫うように駆けていく久住と菅谷。
そこは地元民しか解らないような小さな通りで、表通りと打って変わって通行人は殆どいません。
そして2人でビックリするぐらいに狭い路地を抜け、裏通りの隠れ家的なお店の間を抜けていった先には・・・。


ノリo´ ゥ`リつ<ほら、ここだよ・・・梨沙子ちゃん

州*‘ o‘リ<わ!!!

州*‘ ‐‘リ<凄い・・・

ノリo´ ゥ`リ<ね。すっごい綺麗でしょ?


まるで、大パノラマがそこにはありました・・・。
目の前に180度広がる、京都の町並み。
2人は三年坂や京都の町並みが一望できる、高台のような場所に到着したのでした。
そこから見ると日の光を背に、八坂の塔がまるで影絵の様に浮かびあがります。
それは不思議なぐらいに美しく、そして幻想的な光景。


ノリo‘ ゥ‘リ<ここはね。私と、凄く仲の良かった友達が小学生の時に見つけた場所

ノリo´ ゥ`リ<2人だけの、秘密の場所なんだ。

州*‘ ‐‘リ<そう、なんだ・・・

州*‘ ‐‘リ<・・・・・・・・秘密の場所。


その風景を望みながら、
2人はしばらくの間、無言で佇むのでした。
それは陳腐な褒め言葉などいらない、圧倒的な情景でした。


州*‘ ‐‘リ<・・・・・・・・・・。

州*‘ o‘リ<ねぇ、小春ちゃん

ノリo´ ゥ`リ<ん?

州*‘ ‐‘リつ<いいの?そんな大切な場所に、あたしを連れてきちゃって・・・。

州*‘ ‐‘リ<友達と・・・2人だけの秘密の場所だったんでしょ?

ノリo´ ゥ`リ<・・・・・・・・・・・。

ノリo´ ゥ`リつ<随分前にね、交通事故で死んじゃったんだ。その子・・・

Σ 州*‘ ‐‘リ<え?!!

州;‘ ‐‘リ<事故で・・・?

ノリo´ ゥ`リつ<それ以来、ずっと私だけの秘密の場所にしてたんだけど――。

ノリo‘ ゥ‘リ<きっと、あの子も許してくれると思う

ノリo´ ゥ`リ<梨沙子ちゃんだったら

州*‘ ‐‘リ<・・・・・・・・・・・・

州*‘ o‘リ<ありがとう

州*‘ ‐‘リつ<この場所、教えてくれてありがとうね

州*‘ ‐‘リ<ずっと忘れないよ。この綺麗な景色

州*‘ o‘リ∩<東京に帰っても、ずっとずっと忘れないから・・・!!

ノリo´ ゥ`リ<うん


2人は段差の部分に腰をかけ、
しばらく景色を眺めます。
この情景を見ていると、まるで心ごとその景色に溶け込んでしまったような感覚を覚えるのでした。
そして、ここから三年坂を眺めると・・・
道行く人々の笑顔の一つ一つまでが、繊細なぐらいに伺えるような気がします。


ノリo‘ ゥ‘リ<・・・・・・・・・。

ノリo‘ ゥ‘リ<ねぇ?

州*‘ ‐‘リ<ん?

ノリo´ ゥ`リつ<お願いがあるの。梨沙子ちゃん

州*‘ o‘リ<なに?

ノリo‘ ゥ‘リ<この場所はね、あたしと梨沙子ちゃんと

ノリo´ ゥ`リ<あの子の3人だけの・・・

ノリo‘ ゥ‘リつ<秘密の場所に―――


久住がそう呟いた瞬間、


Σ 州*‘ o‘リ<あ!!!!!


驚愕の面持ちで段差から立ち上がる梨沙子。
久住はビックリした様子で、菅谷の顔を見上げます。


ノリo‘ ゥ‘リ<え?梨沙子・・・ちゃん?

州*‘ o‘リ<み・・・・・・

州*‘ o‘リつ<みやだ!!

ノリo‘ ゥ‘リ<え?

州*‘ ‐‘リつ<あそこ走ってるの・・・みやだ!!!


菅谷の指差すほうに目線を向ける久住。
そこは三年坂。
菅谷と同じ制服を着た、綺麗な髪の長い少女がキョロキョロと辺りを伺いながら、
坂道を一生懸命に走っている姿がありました。


ノリo‘ ゥ‘リ<あの子が・・・

州*‘ o‘リ<みや・・・

三州*‘ o‘リ∩<みや!!!

ノリ;‘ ゥ‘リつ<あ、梨沙子ちゃん!!



ノリo‘ ゥ‘リつ      三三三州*;‘ o‘リ∩<みやーーーーーーー!!!



その場所を離れ、
一目散に元来た道を三年坂の方へ向かって駆け出して行く菅谷。
久住はしばらくの間、微動だに出来ず、その場に佇みます。
そして――。


ノリo‘ ゥ‘リ<・・・・・・・・・・・。

ノリo‘ ゥ‘リ<そう。

ノリo‘ ゥ‘リ<そう、だよね。

ノリo‘ ゥ‘リつ<どんなに梨沙子ちゃんがあの子に似てたって・・・

ノリo‘ ゥ‘リ<梨沙子ちゃんは、今日初めて会ったばかりの子

ノリo´ ゥ`リ<私なんかよりも、ずっと大切な友達がいるんだよね。

ノリo´ ゥ`リ<私に会うよりも、遥かに前から心を通わせた友達が・・・

ノリo‘ ゥ‘リ<梨沙子ちゃんには、ずっと・・・


久住は小さく息を吐き、空を仰ぎます。
そして、
駆け出していった菅谷を追い、ゆっくりとした足取りで三年坂へ向かうのでした。




PM 15:45  三年坂


夏焼は小さなぬいぐるみを抱きかかえ、
三年坂を息せき切らせて駆け抜けるのでした。
人ごみにぶつかってはペコッと頭を下げながらも、ただひたすらに坂を駆け上がります。

・・・・・・・・。

それは10分ほど前でした。
隣のクラスの鈴木から、
「顔は見えなかったけど、ウチの制服着た子が知らない子と清水寺の方へ歩いていくのを見かけた」
との目撃情報が入ったのでした。
「それがきっと梨沙子に違いない!」
夏焼はそう信じて、一路清水寺へと向かっていたのでした。
「知らない子と一緒だった」と言う証言も気になるが、なによりも、一刻も早く菅谷に会いたかった。
会って、ともかく菅谷に謝りたかったのでした。


ノノ;∂_∂ル<ハァ、ハァ・・・

ノノ;∂_∂ル<さ、さすがにずっと坂を走ってたから、キツいなぁ

ノノl|l∂_∂ル<このままじゃ、吐きそうだよ・・・


夏焼は三年坂の階段になってる部分に腰をかけます。
そこから遠くを見つめると、わずかに八坂の塔が見えるのでした。


ノノ ∂_∂ル oO(八坂の塔に行くときに、ちゃんと梨沙子にイジワルしないで連れてくれば)

ノノl|l∂_∂ル oO(こんな事にはならなかったんだよなぁ・・・)

ノノ ∂_∂ル<・・・・・・・・・・・。

ノノ ∂_∂ル oO(なんで、あんな事したんだろ、あたし)

ノノ ∂_∂ル oO(なにやってんだろ?)

ノノ ∂_∂ル oO(・・・・・・・・・・・・・・)

ノノ ∂_∂ル oO(梨沙子はあたしの事、すっごく慕ってくれてるのに)

ノノ ∂_∂ル oO(あたしは梨沙子に優しくしてあげた事なんてほとんどない)

ノノ ∂_∂ル oO(今回の事だって・・・)

ノノ ∂_∂ル oO(・・・・・・・・・・・・・・)

ノノ ∂_∂ル oO(きっと、嫌われただろうな。あたし)

ノノ ∂_∂ル oO(でも、嫌われて当然かもしんない)

ノノ ∂_∂ル<ホンット、馬鹿だ・・・あたし


夏焼は階段に腰掛けたまま、
手に持つぬいぐるみを抱きしめます。
自分で招いた結末とはいえ、今度ばかりは自分がイヤになるのでした。

――絶対に梨沙子に嫌われた。

その事だけが、重く心に圧し掛かります。
目の奥が熱くなって来るのを、夏焼は感じるのでした。


ノノ ∂_∂ル oO(もう、梨沙子はあたしの元へは戻ってこないだろうな)


                                                                 みやーーーー>


ノノ ∂_∂ル oO(「みやー!」って言って嬉しそうに抱きついてくることも、きっとない)


                                                         みやーーーーー!!>


ノノ ;∂_∂ル oO(あんなに慕ってくれてたのに)


                                                    みやーーーーー!!>


ノノ ;∂_∂ル oO(ホントはあたしだって・・・梨沙子のこと)


                                               みやーーーーー!!!>


ノノ;つ_∂ル<なんか・・・幻聴まで聞こえてきたよ。



                                     みやーーーーー!!!>∩(‘ o‘*州三三


ノノ ;∂_∂ル<・・・・・・・・・・・・。


ノノ;∂_∂ル<え?


ノノ;∂_∂ル                      みや!!>∩(‘ o‘*州三


ノノ;∂_∂ルつ<り、梨沙子?!!!


ノノ*∂_∂ルつ∩(‘ o‘*州三<みやだーーー!!!


そう・・・。
それは夢でも幻でもありませんでした。
菅谷が夏焼の元に一目散に駆けつけてきたと思ったら、
夏焼を見るなり、速攻で抱きついて来たのでした。


ノノ;∂_∂ル<り、梨沙子・・・

ノノ;∂_∂ルつ<どうして――

州*;‘ o‘リ∩<良かったぁ!会いたかったんだよ、みや

州*;‘ o‘リ<見つからなかったらどうしようって思った

州*;‘ o‘リ<心配したんだよ?みや

ノノ;∂_∂ル<心配?

ノノ ;∂_∂ル∩<バカ!!心配したのはこっちの方だよ!!!

ノノ ;∂_∂ル<バカバカバカ!!梨沙子のバカチン!!
   _, ,_
州;‘ o‘リ<むー!バカチンじゃないもん!

ノノ ;∂_∂ル∩<バカに決まってるじゃん!!修学旅行で迷子なんて、バカだよ、バカ!!


あれだけ後悔しておきながらも・・・
やっぱり菅谷を前にしてしまうと意地悪してしまう、天邪鬼な夏焼。
それでも――。
やっぱり嬉しさと安堵感だけは、隠すことが出来ないのでした。
夏焼は「バカ」と言いつつも、菅谷の体をギュッと抱きしめるのでした。


州*‘ o‘リ<みや・・・・

ノノ*;∂_∂ル<この、バカ!!


再会の安堵感からか、
しばらくその状態のまま、佇む2人。
だが、
ここは人通りの多い三年坂。
道行く人がチラチラと2人を見ていくのに気づき、
夏焼は急激に気恥ずかしくなって、即座に体を離すのでした。
そして――


ノノ*∂_∂ル∩<あ、あのさ!!梨沙子

州*‘ ‐‘リ<ん?

ノノ;∂_∂ルつ○<コ、コレ!!!コレあげるよ!!

州*‘ o‘リ<?

州*‘ o‘リつ○<これ?ぬいぐるみ??

州*‘ ‐‘リ<変わったぬいぐるみだね

ノノ;∂_∂ル∩<うん。露天商に売ってたの・・・。

ノノ ∂_∂ルつ<梨沙子。ぬいぐるみ好きだったでしょ?

ノノ;∂_∂ル<ごめんね、一人ぼっちにして

ノノ ∂_∂ルつ<せめてものお詫びだから、貰って・・・

州*‘ o‘リ<みや・・・


菅谷は貰ったぬいぐるみをじっと眺めます。
それはカワイイんだかカワイクないんだか解らない微妙なデザインでしたが・・・
なんだかシュールで味のあるぬいぐるみでした。



それは40分前・・・。



竹内栖鳳邸跡前。
夏焼は鹿のぬいぐるみ欲しさに、露天商で20分ばかり捕まっていたのでした。
その時――。


( ‐ Δ‐)∩<鹿のぬいぐるみ、人気あるからにぇ〜

( ‐ Δ‐)<売り切れちゃうかもしれませんよぉ〜


ノノ;∂_∂ル<うーーーーん。どうしよっかなぁ・・・

ノノ ∂_∂ル<・・・・・・・・・・・・。

Σ ノノ ∂_∂ル<あれ?

ノノ ∂_∂ル∩<ねぇ、お姉さん。こっちのぬいぐるみは?

ノノ ∂_∂ルつ<カワイイね、これ

( ‐ Δ‐)<ん?

( ‐ Δ‐)<あぁ、プペちゃんのぬいぐるみだねぇ〜

ノノ ∂_∂ル<・・・・・・・・・・いくら?

( ‐ Δ‐)<そうだにぇ〜。定価は18000円だけど

Σ ノノ;∂_∂ル<18000円?!チョー高っ!!なに、ソレ!!?

( ‐ Δ‐)<フランス生まれのアンティーク作家が手縫いで作ってるからにぇ〜

( ‐ Δ‐)つ<超有名ブランドなんだにぇ〜

ノノl|l∂_∂ル<そ、そうなんだ?

ノノ;∂_∂ルつ○<でも・・・なんかヘンカワイイですよね

ノノ ∂_∂ルつ<きっと、梨沙子欲しがるだろうな・・・コレ

( ‐ Δ‐)<梨沙子?

( ‐ Δ‐)<
お友達へのプレゼントなのかにぇ?

ノノ ∂_∂ル<うん。

ノノ;∂_∂ル<ちょっと、色々あって。お詫びに何かあげたいなぁって・・・

ノノ ∂_∂ル<物で釣るみたいで、アレだけどね

( ‐ Δ‐)<・・・・・・・・・・・。

( ‐ Δ‐)<
心を込めたプレゼントって言うのはにぇ・・・

ノノ ∂_∂ル<え?

( ‐ Δ‐)つ<友達との仲も、家族の絆も、なんでも癒すことの出来る魔法を持ってるんだにぇ〜

( ‐ Δ‐)<なぜなら、心の篭ってるプレゼントと言うのは・・・

( ‐ Δ‐)∩<物そのものに心を宿すから――

( ‐ Δ‐)<物が意思を持って、2人の仲を取り持ってくれるんだにぇ〜


ノノ ∂_∂ル<・・・・・・・・・・・。

( ‐ Δ‐)つ○<本当は18000円だけど・・・

( ‐ Δ‐)<5500円でいいよ。7割引なんだにぇ〜

Σ ノノ ∂_∂ル<え?!!!

( ‐ Δ‐)∩<買い手が物を選ぶように、売り手も人を選ぶんだにぇ〜

( ‐ Δ‐)<あなたは純粋で綺麗な目をしてる。

( ‐ Δ‐)つ<このぬいぐるみの存在が、純粋な2人の仲を取り成すことが出来るなら・・・

( ‐ Δ‐)<きっと、作り手も幸せなんだと思うにぇ〜

ノノ ∂_∂ル<・・・・・・・・・・・・。

ノノ ∂_∂ルつ<ありがとう。お姉さん・・・

( ‐ Δ‐)<頑張って仲直りするんだにぇ〜。応援するよぉ〜



そして、
夏焼はプペちゃんのぬいぐるみを持って、
菅谷を探し続けていたのでした。


ノノ;∂_∂ルつ<あのさ。本当にゴメンネ、梨沙子・・・

州*;‘ ‐‘リ<みや・・・。


菅谷は大切そうにプペちゃんのぬいぐるみを抱きかかえます。
夏焼がずっと抱えて居た為、
ぬいぐるみには夏焼の温もりが残っているのでした。
そして、夏焼の思いも――。


州*;‘ ‐‘リ<ありがとう。みや。


そんな2人の元へ、
遅れて菅谷を追ってきた久住が到着します。
だが、


ノリo‘ ゥ‘リ<・・・・・?!

ノリo‘ ゥ‘リ<梨沙子ちゃん・・・。


2人の空気には入り込めない壁がある。
つい、さっき出会ったばかりの自分には決して入れない壁。
久住はキュッと唇を噛むと、2人の様子を少し離れた所から見つめるのでした。
すると―。


ノノ ∂_∂ル<あ。そう言えばさ、梨沙子・・・

ノノ ∂_∂ルつ<よく、あたしがここの居るの解ったね

州*‘ ‐‘リ<え?

ノノ ∂_∂ル<ほら、梨沙子。名前叫びながら、まっさきにあたしの所に駆けつけてきたじゃん

ノノ ∂_∂ルつ<どこから見えたの?あたしがここに居るの・・・

州*‘ ‐‘リ<・・・・・・・・・・。


夏焼の問いに、しばし沈黙する菅谷。
そして、
菅谷の口から出た、答えは。


州*‘ o‘リ<ううん。別に、どっかからみやを見つけたワケじゃないよ

州*‘ o‘リ<なんとなく、

州*‘ ‐‘リつ<三年坂にみやが居るような気がしただけ

Σ ノリo‘ ゥ‘リ oO(・・・・・・・え?)


遠くから2人の様子を伺っていた久住は
菅谷の返答に、思わず目を丸くさせるのでした。


州*‘ o‘リ<でも、ホントに三年坂にみやがいて良かったよ

州*‘ ‐‘リつ<あたしの予想通りだったね・・・

ノノ ∂_∂ル<ふーーん、そうなんだ。

ノノ*∂_∂ル<でも、あたしが来たのわかるなんて凄いね

ノノ*∂_∂ルつ<通じ合ってるね!!

州*‘ o‘リ∩<でしょ?凄いでしょ?!


そんな2人のやりとり。
一瞬、久住はなんで菅谷が「みやを見つけたワケじゃない」と
嘘をついたのか解りませんでしたが・・・。
すぐに、久住は菅谷の意図が掴めたのでした。


ノリo‘ ゥ‘リ oO(雅ちゃんを見つけた場所は、あたしとあの子の秘密の場所だった)

ノリo‘ ゥ‘リ oO(梨沙子ちゃん・・・・・・)

ノリo‘ ゥ‘リ oO(秘密の場所の事、雅ちゃんにもナイショにしてくれてるんだ・・・)

ノリo´ ゥ`リ oO(ちゃんとナイショにしてくれたんだ)

ノリo;´ ゥ`リ oO(ありがとう・・・梨沙子ちゃん)


心の中で「ありがとう」と呟くと、
久住は、そのまま黙って三年坂を離れるのでした。
今日出会ったばかりの自分には、あの2人の絆の中には入り込めない。
だけど、
今日会ったばかりの自分の為に、ちゃんと約束を守り通してくれた菅谷。
ほんの1時間足らずの出会いだったけど・・・。
久住は不思議なぐらいの幸せを胸に、帰路へつくのでした。


一方、
当の菅谷は・・・。


州*‘ ‐‘リ<あ!!

州*‘ o‘リ∩<そうだ、みやにね。紹介したい人がいるんだよ?

ノノ ∂_∂ル<え?あたしに?

州*‘ ‐‘リ<うん。迷子になってたあたしの事、助けてくれた子で、すっごい優しいの

ノノ ∂_∂ル<そうなんだ?

ノノ*∂_∂ル<じゃ、お礼しなきゃね。

州*‘ o‘リ<うん。

州*‘ ‐‘リ<でも、小春ちゃん遅いな・・・

州*‘ o‘リ<そろそろ来ると思うんだけどな・・・


2人はそう言ってしばしの間佇み、
久住を待つのでした。
その間、2人はお互いに離れていた間にあった出来事を話すのでした。

久住の事。
怪しい露天商の事。

色々な出来事があり、色々な出会いもあった班別行動。
これら全ての思い出を、菅谷はあの『秘密の場所』から見た景色の様に――
心に焼き付け、ずーっとずーーっと忘れないのでありました。







PM 16:00 石塀小路 『お土産屋:ミラクルレボリューション』 


ノリo‘ ゥ‘リ<ただいま〜


久住が家に着くと、
店員の村田が、すでに店内に戻っていたのでいた。

そうなのです。

怪しい露天商の村田は、実は久住の土産物屋の店員なのでした。
日曜日は店以外にも外に露天を開いて、売り上げアップに貢献しているのでした。


( ‐ Δ‐)<あれ?小春ちゃん、どこ行ってたんだにぇ?

ノリo´ ゥ`リ<うん。ちょっと友達と・・・

ノリo‘ ゥ‘リつ<村田さんは、露天売りは終わったの?

( ‐ Δ‐)<途中、雨が降ってきたから、早めに切り上げたんだにぇ〜

ノリo‘ ゥ‘リ<そっか

ノリo‘ ゥ‘リ∩<何か売れた?今日は

( ‐ Δ‐)つ<勿論よ。今日は大もうけなんだにぇ〜

( ‐ Δ‐)∩<なんと!!


( ‐ Δ‐)<プペちゃんのぬいぐるみが、5500円で売れたんだにぇ〜

ノリo‘ ゥ‘リ<ご、5500円?!!!

ノリ;‘ ゥ‘リつ<えー!!?あれって、原価1000円もしなくない?

ノリl|l‘ ゥ‘リ∩<村田さんがテキトーに作ったぬいぐるみじゃん!!

( ‐ Δ‐)<ボンジョワールムメの手作り作品はレアなんだにぇ〜

( ‐ Δ‐)つ<ムメブランドは高いんだにぇ〜

ノリ;‘ ゥ‘リ<全くぅ〜!!とんだぼったくりじゃん!!

ノリo‘ ゥ‘リ<・・・・・・・・。

ノリo´ ゥ`リ∩<ま。でも。儲かったから、いっか!!村田さん

( ‐ Δ‐)<うんうん。そうそう!すっかりボロ儲けなんだにぇ〜


久住はそういって笑いながらエプロンをつけます。
そしていつも通り、お店のお手伝いを再開するのでした。
しかし。
ふと、久住は店の軒先に置いてある、木造のベンチを見つめます。
そこは初めて菅谷に出会った場所でした。


ノリo‘ ゥ‘リ oO(プペちゃん。ウチの商品だって知ったら驚くだろうな・・・)

ノリo‘ ゥ‘リ oO(大切にしてね、プペちゃん)

ノリo´ ゥ`リ oO(ま、5500円はかなりボッタクリだけどね)

ノリo‘ ゥ‘リ oO(雅ちゃん。散々梨沙子ちゃんをほっぽってたんだし。罰だよね!)

ノリo‘ ゥ‘リ oO(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

ノリ;‘ ゥ‘リ<あーあ。意地悪だなぁ、わたし・・・。


そう言って微笑みながら、小さくため息をつく久住。
そこは、京都の情緒溢れる石塀小路。
その一角にある、『ミラクルレボリューション』と言う名のお店。
みなさんも京都観光の際には、一度寄ってみるのもいいのではないでしょうか?



ノリo‘ ゥ‘リ<つづきます