―添い寝―







こっくり、こっくり。
梨沙子の頭が揺れる。
時間はもう十一時を過ぎてしまった。
小5の梨沙子が眠っていてもなにもおかしくない時間帯だ。
そう言う雅も眠かったが、中学生になっている分たぶんまだマシなのだと思う。

「梨沙子、梨沙子。眠いなら、寝ちゃいなよ。ほら、ソファも空いてるんだし。」

目の前で規則的に揺れる梨沙子の身体を支えながら言う。
見ていてとても危なっかしい。
雅はほとんど眠りに入っている梨沙子を起こす。
軽く肩を揺らすと梨沙子は眠そうに目を擦った。

「梨沙、まだ眠くないもん。みやに、新年の挨拶、…するん、だもん。」

言っている途中から既に半分寝ている。
雅はそんな梨沙子に呆れながらも仕方がないかと思い梨沙子の隣に座る。
そしてそのまま梨沙子を自分の膝の上に倒した。

「じゃあ、年明け五分前くらいに起こしてあげる。だから今は寝てなよ。」
「絶対、起こしてね…。」

梨沙子はそう言って目を閉じた。
雅が膝に体重がかかったのを感じると直ぐに寝息が立ち始める。

―眠そうだったもんねー。

雅はそう思いながら梨沙子の頭を撫でる。
緩くウェーブのかかった茶色い髪。
指どおりの良いそれを撫でていると何故か眠気が差してくる。
だが梨沙子との約束の手前寝るわけにもいかず、そのままぼうっと天井を眺める。
遠くで歌っている声が聞こえた。
梨沙子の体温とちょうどいい大きさの音楽に誘われて瞼が閉じてくる。

―…眠い。梨沙子って体温高いよね〜。

頭を振って眠気を払う。
何か気を散らせるものはないかと周りを見るが何もない。
手近にある物は梨沙子の身体だけ。
よって雅は梨沙子の観察を始めた。
改まって梨沙子の顔を見ることなんてなかったのでちょうど良い。
手始めに眠っている梨沙子の頬を軽く突いてみる。
何の反応もないので、ちょっと強めに触ってみる。

「……み、や。」

驚いて一瞬身体が固まってしまう。
雅は梨沙子が起きたかと思い慌てて手を引っ込める。
すると梨沙子はもぞもぞと身体を横に向け、雅の腰に手を回してきた。
ぐっと力が込められるのが感じられ雅の体は引き寄せられる。
梨沙子の顔が雅のお腹に埋まった。

「ちょ、ちょっと梨沙子?」

わたわたと普段は見せないような動きで雅は焦る。
だが梨沙子はそんなこと関係ないとばかりにますます雅の腹に顔を埋める。
ぐりぐりとそんな効果音が付きそうな顔の埋め方だった。

―そう言えば梨沙子もぬいぐるみを抱いて寝るんだっけか。

これは人にするような顔の埋め方ではない。
遠慮なしに、本当に遠慮なしに埋めてくる。
寝ているのだから当然と言えばそうなのだが。
お腹に感じる梨沙子の吐息と体温。

「どうしよう。」

梨沙子のおかげで眠気は冴えた。
それはもうコーヒーだってガムだってこんなに眠気覚ましにはならないだろうという感じの効き方だった。
とりあえず顔を離してみようと試みる。

「…離れないし。」

なんなんだろう。
見事としか言えないくらいに離れない、離しても直ぐくっついてくる。
はあとため息が漏れた。
梨沙子の寝顔を見ていると何だかどうでも良くなって来る。
余りにも気持ちよさそうに寝ているのだから。
こんな事で焦って起こす必要なんてない。

「まぁ、いいか。」

どうせ起こすと約束した時間まで三十分を切ってしまった。
それまで寝かせておいてあげよう。
落ち着きなく空をさまよっていた手をもう一度梨沙子の頭に乗せる。
ぽんぽんと軽く撫でると少しくすぐったそうに顔を動かされた。

「来年もよろしくね。梨沙子。」

たぶん本人がいたら言えない。
今は寝ているから言える。
雅は梨沙子の耳元に口を寄せて呟いた。

結局このあと雅も寝てしまって年が明けてから桃子に起こされたことは今年最初の笑い話だ。



―添い寝―   終









「結局、ラブラブ?」
「うん、結局ラブラブ。」

でっかいダブルユーの二人がそんな二人をずっと見ていたことを雅は知らない。

「明ける前も明けてからも、あそこだけは変わんないね。」
「楽屋だって忘れてるよ、みやも梨沙子も。」

年上二人も一部始終見ていた。


ベリーズ工房はそんな感じで年を越したのだった。


ホントに終。



モドル


仕事の忙しさに必死で、頂き物をうぷするのが遅れてました。ごめん、みんな!!
毎度ながら、メン後さんには感謝感謝です。

んで。内容は紅白の舞台裏ってことで・・・・・・この手の「舞台裏系」の小説って、オイラ大好きなんですよ。
コンサにしても紅白にしても、実際に現場やテレビで見てるじゃない?
で、実際自分が目にしてたモノに、こーゆー舞台裏があると思うと嬉しくなっちゃうのw
脳内で想像もしやすいから、妄想も楽しいしね!!!

ちなみに、梨沙子の寝てるシーンといえば、イベントVの「ベリーズ工房行くべぇ〜!!」が記憶にあたらしい。
ポップコーンをほう張りながら、寝入ってしまうりーちゃんがエロキャワいかった。
あんなキャワイイ生き物が、自分の肩に凭れて寝てるんだ。そら雅ちゃんも愛しくって仕方ないだろうなぁ〜。

素敵なカップリングってヤツは往々にして、エロなんてなくても、ただ隣にいて凭れてるだけで萌えたりする。
でも、段々そのカップリングに慣れてくると、そー言う展開だけじゃぁ物足りなくなってくるのよね。腐女子って。
だけど・・・・。
りしゃみやは不思議と、そー言う気が起きないのよ、オイラ。
年齢的な問題も勿論あるだろうけど、そー言うのよりも、こう言う形のほうが遥かに萌えるの。これがあの2人のオーラなんだろうなぁ。
健やかに爽やかに・・・そんな青春のりしゃみや。
マジでサイコーだよなぁ〜りしゃみやって・・・(遠い目




モドル