今日は年に一度の自分の日。
それを好きな人に祝ってもらいたいのは自然なことでしょ?




―愛・愛・愛・愛・愛してる―






「ねぇ、ねぇ、みやー。」
「なにー。」

くるっと後ろに振り返ると梨沙子が楽屋の端からあたしのことを呼んでいた。
ちょっと来てって手を掴まれてそのまま梨沙子の鞄の近くに連れてかれた。

「どうしたの?」

いつもにこにこしている梨沙子だけど今はもっと満面の笑顔。
あたしの手を握っているのとは反対の手でごそごそと鞄を探っている。
あたしが「梨沙子?」と呼んでも気にせずに鞄に片手を突っ込んでいる。

「あれ?おかしいなぁ。ここに入れたんだけどなぁ。」
「何探してるの?」
「みやの誕生日プレゼント!絶対似合うと思ったんだもん。」
「そ、そうなんだ。」

恥ずかしくてそれしか言えなかった。
考えてみれば今日は八月二十五日、あたしの誕生日だ。

―梨沙子、覚えててくれたんだ。

梨沙子には悪いけどはっきり言って期待してなかった。
梨沙子は抜けてるから、お祝いの言葉を言われたら良いほうかなとかって思っていた。
そんなこと思っている間も梨沙子はちょっと険しい顔をしながら真剣にあたしへの誕生日プレゼントを探している。

「梨沙子?今ないなら後でもいいんじゃない?もうすぐ時間だよ。」
「最初にあげたいんだもん。あっ、あった!あったよ、みや。」

梨沙子の手には包装された細長い箱が握られていた。
まるで自分が貰ったかのように嬉しそうにして、あたしにその箱を渡してくる。

「はい、みや。お誕生日おめでとう!」

あたしも笑顔になってその箱を受け取る。今年の一番早い誕生日プレゼントだった。
親からは夜に貰う予定だったし、友達とはまだ会ってすらいない。
そして何よりあたしの苗字が読めなかった梨沙子が誕生日のことは覚えていてくれたのが嬉しい。

「ありがとう、梨沙子。・・・開けていい?」
「うん、開けてみて。気に入ると思うから。」

照れているのかちょっと顔が赤くなっている。たぶんあたしもだけど。
包装紙をできるだけ丁寧にはがしていくと中からケースが出てきた。細長い形を見た
ときから思っていた通り中身はネックレスだった。シンプルな作りでとてもかわいい。

「梨沙子、これ高かったんじゃないの?」
「別に。それより、みや、これ気にいった?」
「うん。本当にありがとね、梨沙子。」

あたしがそう言うと心配そうにしていた表情が一気に明るくなってまた満面の笑みになった。
その笑顔に釣られて梨沙子の頭を撫でると今度は一気に不機嫌そうな顔に変わった。
あたしはその極端な変化がおかしくてしょうがない。
でもここで笑うとますます梨沙子の機嫌が悪くなるだろうから必死に我慢する。
笑いをこらえてちらっと時計を見ると、集合時間に差し迫っていた。

「あっ、もう時間じゃん。ほら梨沙子行こう。」

まだすねている感じの梨沙子を来たときとは逆に引っ張っていく。
梨沙子はあたしより大きくなっちゃったからそれも結構つらいものがある。
でも繋いでいる手から感じられる温もりを手放すのはやっぱり惜しくて、離せなかった。


―来年もこの手を握ってられたらいいなぁ。


そんな風に感じた誕生日だった。
                             終


吉よしメン後さんからのGIFT小説です。あーがとーございます!!
まさかメン後さんがウチのネタやら小説を読んで、ベリッ子へ片足突っ込んで戴けるとは・・・

ルつ’ー’リつ<超、ハッピーーーー!!

こんなハッピーな展開もあるのなら、たまにはオイラも日記以外も更新しようと思いましたw
つーか、りしゃみや!!りしゃみや!!りしゃみや最高!!
とても初書きとは思えない感じです。ぜひ、また次回もお願いしまーーーす(ハート


モドル