もうひとりのあなたへ・・・・




終章 もうひとりのあなたへ・・・・




夜の帳が降り始めた頃・・・・。

芝公園の一角。
ちぃは「東京タワーでキスする!」とプンスカしていたけど、
東京タワーの中だと観光客多すぎだし、そもそも、東京タワーだと東京タワーがみれないじゃん!!と説得し、
私とちぃは芝公園内の、東京タワーが良く見える場所へとやってきたんだ。

「わっ!すっごいね!!!」

ちぃは芝生の上に立ち、嬉しそうに上を見上げた。
遮るものがない公園内は、大迫力な程に、東京タワーが眼前にデカデカとそびえていた。
ネットで撮影スポットをググって場所を調べただけあって、東京に住んでいる私もいままで見たことないぐらい、でっかい光の塔がそこにあった。

「へぇ・・・・いいね、ここ、ロマンチック!!」

どうやら、おちぃさんのお眼鏡にもかなったらしい。
繋いでいる私の手を、むっちゃご満悦な様子で、ブンブンと振っている。
そして、ちぃは嬉しそうにピタっと、私の肩に体を寄せて来たのだった。

「ねぇ、梨沙ちゃんさ。ここでキスするの、マジ、トレンディドラマじゃない??」
「ちぃって、トレンディドラマ知ってる世代じゃないでしょ??」
「平野ノラさんのネタで観たことある!!!」

な、なるほど。それはおったまげ・・・。
しかし。
ちぃはとりあえず、夜景デートが出来て満足したみたい・・・
「でも、やっぱ、キスはマズいよね。会社のお膝元だし、ファンの人に見られたらヤバいし」と、笑っていた。
あぁ、それ、ホントやばいわ。しかも今日、パシフィックヘブンで誰かのグリーティングイベがあると聞いたし・・・。

「うちらのチュー写真とか撮られたら、チョーヤバイよ!!梨沙ちゃん!!」
「ヤバいね!!ももち先輩と徳永さんのフライデー、超えるね!!」
「あはは!!333メートルぐらい超えちゃうよ!!」

そう言って、ちぃは楽しそうに東京タワーを見上げると、そっと目を細めた。
私も隣に立ち、同じように見上げる。
近くで働いているからいつもはスルーしてたけど・・・改めてみると、やっぱ、綺麗だなぁって思ったんだ。

「そっか。千佐子さんは、初めてみたんだね。東京タワー・・・・」

ちぃの呟きに私は無言のまま、コクリと頷いた。
正確な年代は知らないけど、確か出来たのは戦後だから・・・千佐子さんが生きてた頃は、まだ、なかった。
大正生まれの人が、こんな光の塔をみつけたら、行きたいと思うのは当然かもしれないなって思った。
私たちは・・・スマフォも東京タワーも・・・あまりにも当たり前の様に側にありすぎて、そのすごさに気づけないんだよね。

ちぃは東京タワーを見上げながら、
とても柔らかな口調で・・・私に、こう語ったんだ。

「千佐子さん。『あなたに出会えて、本当に感謝しています』って言ってた」
「うん。。」
「でも、それは私も同じ。千佐子さんに出会えたから、梨沙ちゃんと恋人になれたし。千佐子さんがいたから、私は自信を持てた」
「・・・・・・・・・・・・・」
「私の体で、声で、歌はあそこまで人を感動させられるんだ。あとは、私の頑張り次第なんだ・・・って。教えてくれた」


だから。
この先、何があっても・・・・頑張ろうね、梨沙ちゃん!!


そう言って、ちぃは私の手を握りしめた。
うん、そうだね。
私はコクリと頷き、ちぃの手を握り返した・・・。
そう。頑張ろう。一緒に、どこまでも、頑張ろう!!!


ピュゥと、ビル風が吹き抜ける。
都会とは思えない自然が広がった大きな公園だけど、
この風が、ここが東京であることを、思い出させてくれる。

「千佐子さんは、関西出身なんだよね??」

不意にちぃが呟いた。
子供の頃に宝塚少女歌劇を観たと言ってた。きっと、そうなんだと思う。
ちぃも交換日記で聞いていたのだろう・・・・。

「どこに住んでたのかな??お墓参りとかしたいね」
「そうだね。きっと関西のどこかにあるんだろうけど・・・・」

そう、、いつか。
今度は私たちが、千佐子さんが住んでいた街も観てみたいと思った。
あなたが何処で暮らして、どういう景色をみていたのかを、私たちも知りたいと思った・・・。




東京タワーを見上げる。
あの日、千佐子さんと東京タワーから見下ろした夕陽と、そして、夜景を思い出す。



・・・・・・・・そう。



ちぃには、ナイショだけどね。
本当はね。気づいてたんだ・・・あの時。
隣にいるのが、ちぃではなく、千佐子さんである事に。。
最初は解らなかったけど・・・途中から、なんとなく、千佐子さんかな?って。
これを言うと、ちぃが「じゃぁ、なんでキスしたの!?」って超絶プンスカするから、絶対ナイショだけどね!!

・・・・・・・・・・・。

ちぃに似てるから・・・・・だけではなく・・・・・
私も、ちょっと。あなたを好きになっていたのかな??




ちぃによく似た。
だけど、まったく別人の、もうひとりのあなたへ・・・。




無理なのはわかっているけれど。
だけど。
本当のあなたにも、いつかどこかで会ってみたいな・・・って、そう思ったんだ。


(もうひとりのあなたへ・・・・END)






・・・ちょっとあとがき・・・


というワケで、長いお話にお付き合いくださり、ありがとうございました。
しばらく更新が開いちゃったけど、最終的に完結出来て良かったよ。
3周年までに終えなきゃいけない使命感にかられ、無事に完結しました。

なんで3週年までに終えなきゃって思ったかと言うと、実は、シャイニングなんですよね。
11月6日にやるイベントで、もしかして、ひょっとして、万が一・・・・シャイニングがあったら。
そして、新しいパートで披露されたら・・・・・このお話の要が、破綻しちゃうなぁと。
パイセンが藤本さんパートで、もりとちが1小節ぐらいしかパートがない事が、このお話の重要ポイントだったので。
なので、たぶん、シャイニングはやらないかなぁ〜と思うけど・・・・万が一に備え、パート変更になる前に完結させたかったのです。
つまり、イベントがあったおかげで、「完結させなきゃ!!」って必死になれましたww
つか、やらないとは思うけど・・・・誰がシャイニングでミキティパートになるのか、しょーじき、気になるなぁ。
この小説を書いた身としては、もりとちにやらせたいんだけどねww 

まぁそんな感じで・・・・。
長い間・・・・ホントに長い間になってしまって、ありがとうございました。
りさちぃ小説ってことで、ホントにほぼ、りさちぃだらけのお話になりましたね。
ホントは、もうちょっとラブいシーンをいっぱい入れたかったけど、船木も読める全年齢制ブログなのでやめましたww
あと、今回はともかく。スマフォの存在が全てです。
互いに心を通わせ合うために、電話は進化したんです。つんちゃん、いい歌詞書くわww

とりあえず、今回で「もうひとりのあなたへ・・・・」は完結ですが、
このお話は実は、最初から「続編ありき」で制作していたので、近い将来、続編もお送り出来ればと思います。
また、このラブラブカップルのりさちぃ書けるぜぃ!!
というわけで、ばいちゅん!!