真夜中の子犬ダン・リターンズ ―後編―





〜前回からのあらすじ〜

千佳ちゃん(しみハム)は川原で犬を拾いました。
団地でこっそり飼っているので、千佳ちゃんはその犬にダンという名前を付けてあげました。
しかし、千佳ちゃんと真生ちゃん(桃子)が2人でダンの面倒を見ていると、ダンがその場で突然、グルグル回りだしてしまいます。
どうやらダンは目が見えないようです。「目の見えない犬を飼うなんて無理だよ」真生ちゃんの提案で、千佳ちゃんは神社に子犬を置いていく事に決めたのでした。
しかし、やっぱりダンを捨て置けない千佳ちゃん。真生ちゃんが止めるのも聞かず、再び神社にダンを拾いに来てしまいます。
神社に来ると、ダンは目が見えないので、国道沿いをウロついて今にも車に轢かれそうで大変なことになっていました。そんなダンを助ける為に、千佳ちゃんは国道に飛び出し、それを追った真生ちゃんは車に轢かれかけてもっと大変な事になります。
「やっぱ連れて帰ろうか?」このままでは身が持たない。ダンと自分の身を案じた真生ちゃんは千佳ちゃんに問いました。千佳ちゃんはコクッと頷きます。
しかし、団地に連れて帰ったのもつかの間。ダンはあっさり団地の自治会長さんに見つかってしまうのでした。
保健所に保護される前にダンを連れ出した真生ちゃんと千佳ちゃん。2人は弥生さん(なっちさん)の計らいで、サッカーチームのコーチを務める飯田さんと吉澤さんに出会います。「栃木のおじさんなら、犬好きだからダンを飼ってくれると思うよ」
こうして、ダンはようやく優しい飼い主を見つけることが出来たように思えました。
・・・しかし。
ダンと離れたくない千佳ちゃんは、「徒歩で栃木まで行く」と言うメチャクチャな強行で、勝手に栃木の新しい飼い主の元へ向かってしまい、挙句道に迷って真生ちゃんに助けられると言う大迷惑な行動を起こします。
そしてそんな千佳ちゃんの、ヘタレのくせに大胆な行動っぷりに、真生ちゃんはいい加減身の危険を感じてしまいます。
「ダンに優しくしてくれたのにゴメンなさい。でも千佳には、ダンがいないとダメなんです」ダンがいないと、マジろくな事をしない千佳ちゃん。千佳ちゃんを大人しくさせるためには、どうしてもダンが必要なのです。そして飼い主も、そんな真生ちゃんの訴えを黙認したのか、大きく頷きます。
こうして、ダンは再び千佳ちゃんの手元へと戻ってくることになるのでした・・・。



真夜中の子犬ダン・リターンズ ―後編―


―サッカー練習場(夕)―

ダンを飼い主から引き取ってきた真生ちゃんと千佳ちゃんは、吉澤さんと飯田さんの元を尋ねる事にしました。
そして真生ちゃんは、まず最初に2人に謝ります。「せっかく飼い主を見つけてくれたのに・・・ごめんなさい」
正直・・・千佳ちゃんのワガママでこんな事になったのですから、真生ちゃんが謝るのはお門違いのような気もしましたが、真生ちゃんはなんか色々どーでも良くなってたので、取りあえず2人に謝っておきました。
何故ならそんな真生ちゃんの後ろで、千佳ちゃんはダンを抱えたまま棒立ちなのですから。コイツのせいで話がややこしくなったと言うのに、当の千佳ちゃんは謝る気配ゼロです。真生ちゃんが謝らなきゃ、こりゃ話が先に進みません。
「・・・・・・座りな」
そんな真生ちゃんを哀れんだのか、吉澤さんは椅子が2つあるにも関わらず、真生ちゃんにだけ席に座るように勧めます。ごめんなさいの出来ないヘタレは、宿題を忘れたのび太君の如く、立ちっぱです。
飯田さんも気持ちは一緒なのか「電話で聞いたわ」千佳ちゃんを立たせたままで、話を進めます。
「千佳ちゃん、おじさんのウチまで歩いて行ったんだって?」完全に小バカかにしたような言い回しですが、事実その通りだし、まったく計画性のない千佳ちゃんのアフォ行為に、真生ちゃんはいちいちフォローする気ありません。むしろ煽ります。
「きっと千佳ちゃんには、ダンが必要なんです」・・・ダンがいなくなると、途端に奇行ですからね。
真生ちゃんの言葉に否が上にも納得する2人。ですが正直、納得してもいられません。「これからどうするつもり?」吉澤さんは問います。団地では犬は飼えないから、飼い主を探していたワケですし・・・。
その問いに対しては、さすがの真生ちゃんも弱気な声になってしまいます。「団地の自治会長さんに、もういっぺん頼みます」
正直、あの原人オヤジが大人しく言うことを聞いてくれるとは思えませんが・・・。
「私も一緒に言ってあげようか?」飯田さんは問いますが「自分たちで言います」真生ちゃんは丁重にお断りをします。電波とサッカーバカが一緒に来てくれても役に立たないのは目に見えていましたから。
すると飯田さんは、「こうなったら無心でボールを蹴り込むしかないって!ガンバッて!」と言って、真生ちゃんを励ましてくれます。そんな飯田さんの言葉を聞きながら真生ちゃんは、無心で考えなしで説得が出来るわけないだろ、ボケッ!――と思い、やっぱり飯田さんの同伴をお断りしたのは正解だったなーと思うのでした。
そして、そんな真生ちゃんの後ろで立ちんぼのヘタレの千佳ちゃんは、話し合いにすら参加せず、ずーっとダンと馴れ合っているだけなのでした

(見所)
・桃子に完全にオーラ負けしている吉飯コンビ。
・しみハムは桃子の後ろで棒立ちですか。そうですか・・・
・ル;’‐’リつ<お前が犬飼いたい言うてるから苦労してんだろーが、ボケッ!!





―団地の自治会長さん宅(夕)―

真生ちゃんと千佳ちゃんはダンを連れ、自治会長さんのお宅へと乗り込みました。
ダンを団地で飼える様に交渉するためです。
ですが、自治会長はハナから2人を相手にしようとはしませんでした。「飼い主が見つかったんじゃなかったのか?!」呆れた様に自治会長は問います。
「ダンには千佳ちゃんじゃないと・・・」真生ちゃんは言い返しますが、自治会長はあくまで好戦的です。「何度言わせるんだ。この団地じゃ、犬は飼えないの!!」
子供相手に大人気ない大の大人に、娘の弥生さんも思わず渋い表情です。
「飼い主に返してきなさい!このままじゃ野ざらしだ」そう言って自治会長は、更に追い討ちをかけます。「この犬の幸せを思うんだったら・・・」
そんな至って正論を唱える自治会長に、一見真生ちゃんたちに勝ち目はないように思えました。
しかし。
真生ちゃんはやられっぱなしで黙ってるような、弱者ではなかったのです。
「ダンは幸せじゃありませんでした・・・・」
そう言って語りだす真生ちゃんは、ある種の神がかり的な何かを感じさせるほどでした。
「綺麗な家に住んでも、いっぱいエサを貰っても、そんなの幸せじゃない!きっとダンは、千佳ちゃんに育てられるために、神様があの川原で、2人を会わせたんです」そうです。2人の出会いは偶然じゃなく必然なのです。神の思し召しなのです。
「ダンは目が見えないけど・・・千佳ちゃんの愛情は見えるんです!」
そして私にも見えます。森羅万象生きとし生けるものの、素晴らしき愛情の形が!!!!!

神・愛情・幸せ――。

まるでインチキ宗教団体のような真生ちゃんの論説ですが、自治会長と弥生さんは、そのあまりの胡散臭い説得力に言葉を失います。若干10歳にして真生ちゃんは、人間の心を掌握する、妙なカリスマ性があったのでした。
「ダンは、千佳ちゃんと暮らすのが・・・一番幸せだと思います」
そして、そんな若きカリスマ真生様に、さっそく洗脳されてしまったアフォがいました。弥生さんです。
彼女は真生ちゃんに魅せられ、すっかり真生ちゃんの思うつぼでした。ヤンキー上がりはこれだから嫌ですね。単純で…。
弥生さんは身を乗り出し、自治会長を説得しだします。
「オヤジ。一肌脱いでやんなよ!!」ついでに壷と水晶玉も買ってやんなよ!!!200万も寄付してやんなよ!!!!
しかし、「お前は黙ってろ!!!」自分の娘に宗教勧誘をされ、気分のいいものではありません。自治会長は席を立ちます。ですが、すっかり真生様に魅せられた弥生さんは、もう止まりません。今は少しでも真生様のお役に立ちたいので、必死です。
「頼むよ…オヤジ。あたしたち、長い事この団地に住んでいて・・・誰かの役に立ったことある?!」
だからせめて、真生様のお役に!!
「この子達の気持ち踏みにじったら・・・一生後悔するよ!!」
真生教に入って、悔いのない人生を!!!
そして弥生さんは、真生ちゃんの方へと振り向き、今一度、真生様の教えを乞います。「アンタは・・・どうしてそんなに一生懸命なの?」
信者からの問いかけに対し、真生ちゃんは答えます。「友達だから・・・千佳ちゃんは」
そう。人類はみな友達なのです。ミミズだってヘタレだってアメンボだって・・・。

すると、真生様の有り難い説法を聞き、自治会長もついにその重い腰を上げます。「いいか、今日はベランダにでも隠しとけ!ウロウロさせるんじゃねーぞ」
思わず弥生さんは真生ちゃんと顔を見合わせます。そして次第にその表情は笑顔へと変わります。「よかったねぇ!」こーしてついに真生ちゃんは、団地の自治会長すらも味方につけるのでした。そして千佳ちゃんは、なんの役にも立たないまま、弥生さんに進められたジュースを図々しくも飲み続けるだだったのです。


(見所)
・なっちのオヤジ、いくら子供相手でもお客の前でその格好はあんまりだよ。
・相変わらず犬とじゃれるだけで、話し合いに参加する気ゼロのしみハム。
・そして犬を飼うことに関し、ついに神まで持ち出す桃子。
・まるでインチキ宗教団体だよ、桃子。凄い説得の仕方だよ、桃子。
・(●´ー`)<あんたは…どうしてそんなに一生懸命なの?
・ル ’ー’リ<友達だから。千佳ちゃんは・・・
・友達に出世キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!(一応 ―→ 友達)
・おめでとう、しみハム。おめでとう。





― 学校(朝)―

登校する真生ちゃんの下へ、千佳ちゃんとその妹が訪れます。
「真生ちゃーん」どうやら、自治会長さんから正式に犬を買う許可が下りたとの事です。真生ちゃんの説法は、ついに分からず屋の原人おやじの心をも動かしたのでした。
3人は嬉しさのあまり、円になってグルグルと周り「イエーイ!イエーイ!ヤッター!」と声を上げます。それはさながらサバトの儀式。真生教は、振り幅が広い宗教なのです。
「じゃーねぇ!」そして一通り儀式を終えると、千佳ちゃんと妹はそれぞれ自分のクラスへと向かうのでした。

千佳ちゃんと別れた真生ちゃんは、自分の下駄箱へと向かいます。――すると?
「おはよう・・・」なんと、舞美お嬢様が挨拶をしてくるではありませんか!!
今日は不快な下僕どもも連れていません。それが益々、怪しさを感じさせます。
・・・一体なにを企んでいるのか?真生ちゃんが訝しげに様子を伺っていると、
「いいわね、森下さんは。いい友達がいて・・・」ほら、さっそく来ました!舞美お嬢様のイヤミ攻撃です!!!
あんなヘタレの友達を持って苦労ばっかしている真生ちゃんに、よりにもよって「いい友達がいて」です。とんでもないイヤミです!!真生ちゃんはいつも以上にキレのいい舞美お嬢様のイヤミに、内心、かなりのダメージをくらいます。
「なにが言いたいの?」今日の舞美お嬢様は手ごわいぞ!!!真生ちゃんは本気の体勢で身構えます。
ですが、舞美お嬢様は「ホントにそう思ったから」と答えます。そして「私、森下さんを子分にしたいなんて思ってないよ。友達になりたいだけ」そう言って舞美お嬢様は、高級ドックフードを差し出すのです。
「これ、ダンにあげて」
そんな舞美お嬢様の奇行に、真生ちゃんは半信半疑ながらも、ドックフードを受け取ります。大体、「子分にする気はない。友達になりたいだけ」と言っているのに、何故、尚も金目のもので人を釣ろうとするのでしょうか?このお嬢様は。
子分にする気マンマンじゃねーのか!?と思いましたが、悲しいかな、舞美お嬢様は金で友達を作るしか術を知らない、根っからの金持ちだったのです。
そして、真生ちゃんもまた・・・「金目のモノを貰えるなら、妥協しちゃおうかなぁ」と思ってしまう、根っからの貧乏性なのでした。
「ありがとう」真生ちゃんは舞美お嬢様からの貢物を、有り難く受け取ります。そしてその瞬間に、また新たな「(金品で結ばれた)友情」が、ここに生まれたのでした。


(見所)
・自治会長から正式に許可が下り、おおハシャギの桃子としみハム。
・それを見た舞美お嬢様、一般市民の貧しくも熱い友情に惹かれる。
・自分も真の友情を知りたい!!
・舞美お嬢様、友情の第一歩として桃子に高級ドックフードを貢ぐ。
・これだから金持ちは・・・・_| ̄|○ワカッテネー





―団地の広場(昼)―

真生ちゃんと千佳ちゃんは団地の広場へとやってきました。今日は、ダンのための犬小屋をみんなで作る予定だったのです。
そして、そんな真生ちゃん達に協力すべく、「真生教」信者たちが、続々と広場へと集まってきました。
弥生さん、自治会長、通行人1,2、舞波、友理奈、なかさきちゃん。
真生ちゃんに魅せられた信者たちは、材木や新手の信者など、沢山の貢物を持って真生ちゃんの下へと集まってきます。
そして、みんなはダンのため、ひいては真生様の為に力を合わせてダンの小屋を作るのでした。

・・・・ところが。

そうです。宗教団体には、対抗勢力が存在してるのが世の決まりごと。
「ここは公共の広場でしょうが!」そう言ってクレームをつけに来たのは、この団地の住人のばんばのオヤジ(ひろふみ)と、そのカラオケ仲間(っぽい)の連中でした。自治会長を洗脳したも束の間、真生教に新手の反対分子が現れたのです。
すっかり真生ちゃんに魅せられた自治会長は、「全ての責任は私が負いますから!」と、その真生ちゃんへの忠誠心を露わにしますが、対抗勢力はそう簡単には折れません。
「子供ひとりのワガママを許してどーするんですか!!」理想には現実です。真生教信者の理想は、彼らには通じませんでした。彼らはどこまでも現実的です。
「ダメだ!絶対ダメだ!オレは認めんぞ!!!」そう言って、ばんばのオヤジは頑なに真生教を拒絶します。そしてなんと!ばんばのオヤジは、犬小屋を『強制撤去』すると言う、実力行使に出たのでした!!
引っこ抜かれ、無残に投げ捨てられるダンの犬小屋の土台。これには、さすがの真生教信者たちも怒り心頭です。神を愚弄するばんばの行為に、今にも宗教戦争が勃発せんとする不穏な空気が流れます。
そして、その不穏な空気を断ち切るべく行動を起こしたのは・・・我らが真生様なのでした。真生ちゃんは対抗勢力をまっすぐに見つめ、言い放ちます。
「ダンは目が見えないから。人間が助けてあげないと、生きていけないんです!!!」

人間・助ける・生きる

やはり、インチキ宗教団体のような論説をする真生ちゃんですが、対抗勢力はその論説に反論できません。思わず黙り込んでしまいます。どいつもこいつも、アフォばっかです。
そして・・・そんな対抗勢力にさらなる追い討ちをかけたのが。
な・な・なんと!!!!今まで沈黙を守り続けていた、「眠れるヘタレ」千佳ちゃんなのでした。

「盲導犬は、目の見えない人を助けるでしょ?なのにどうして人間が、目の見えない犬を助けちゃいけないの?」

その言葉を聴き、反対勢力に一斉に沈黙が走ります。
千佳ちゃんの神がかり的な名言に、もはや反論できる人間はいない。・・・そう、思われました。
・・・・・・・・・・・・・・・。
しかしです。意外なところから、あまりにも意外な反論が飛び込んできたのです。
「ねぇ!今、なんて言ったの??!」そう言って、団地の窓から顔を覗かせる兵藤ゆき姉。
そうです。ヘタレの千佳ちゃんは声が小さすぎて、団地の窓まで声が聞こえていなかったのです。折角の名言も、千佳ちゃんのヘタレ声のせいで台無しです。
すると、そんな千佳ちゃんの名言を「盲導犬は、目の見えない人を助ける!なのにどうして人間が、目の見えない犬を助けちゃいけないの?!!」なんと弥生さんが、さも自分のセリフであるかのように、盗作したのでした!!!!!
「そのとおりよ!」大声で弥生さんに賛同する団地の住人たち。弥生さんは、爽やかな笑顔で答えます。「そうだよね!!そのとおりだよね!!!」人のセリフを盗作したくせに、弥生さんは、もはやノリノリです。「そーだそーだ!!!」と、団地の住人もノリノリです。
そこには、何人たりともツッこむことの許されない、『ノリノリの空間』が存在していました。これぞ宗教。これぞ真生教です!!

そしてついに、そんな空気にすっかり洗脳された対抗勢力が、真生ちゃんと千佳ちゃんへと歩み寄ります。「可愛がってやれよ」そう言ってダンの頭をなでる、ばんばのオヤジ。
そんなばんばのオヤジを見て、真生ちゃんは大きく、力強く、頷くのでした。

(見所)
・ル ’‐’リ<ダンは目が見えないから・・・人間が助けてあげないと生きていけないんです!
・人間・助ける・生きる
・なんでこの子の説得は、いつも宗教じみてるのだろう・・・?
・そして、ついに眠れるハム。しみハムが動き出した!!
・川 ´・_・`リ<盲導犬は人間を助けるのに、どうして人間が目の見えない犬を助けちゃいけないの?!
・名ゼリフキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!やれば出来るじゃん、しみハム!!!
・しかし、「聞こえないよー」と周りからクレーム。
・そして、あっさりぬっちさんに名ゼリフを盗作されるしみハム。
・面白い!面白すぎる、この映画!!!!
・そして何故か、ぬっちさんを中心に盛り上がる大人たち。
・ザンネンダッタネ>ル;’‐’リつ川 ´・_・`リ<・・・・・・・・・・・・・





―学校(放課後)―

不快な下僕どもを連れ、校庭をあるく舞美お嬢様。すると、「辻本さーーん!」そう言って、真生ちゃんが舞美お嬢様の元へと駆け寄ってきました。舞美お嬢様は、実は「辻本」と言う、あんまりお嬢様っぽくない苗字だったらしいのです。
「ねぇ今度。子犬、見に来ない?」真生ちゃんは舞美お嬢様に言います。「ダンがね。この前、あなたがくれたドックフード。おいしそうに食べたの」
そう言って暗に、『だからまた、手土産にドックフード持って来いよ?』と匂わせる真生ちゃん。そんな真生ちゃん思惑に、舞美お嬢様はあっさり引っかかります「じゃぁ、また持ってくね」
・・・そうです。あの日以来、舞美お嬢様は事あるごとに、すっかり真生ちゃんのお財布代わりに利用されていたのでした。
そして不快な下僕どもとめーぐるもまた、「自分も舞美お嬢様のゴチにあやかりたいッス!」とばかりに、舞美お嬢様を利用する真生ちゃんに、すっかり取り入っていたのでした。
しかし、そんな金で作られた友情ですが、世間知らずの舞美お嬢様は幸せでした。
「ねえ、夏休み。みんなでプール行かない?(舞美お嬢様の奢りで)」めーぐるが問うと、みんなは一斉に頷きます。「行こう、行こう!」

すると、そのときです。

突然車のクラクションの音が、プップッーー!!と、彼女たちの元へ聞こえたのでした。
みんなは一斉にそちらを見ます。
一瞬、舞美お嬢様のじいやがベンツで迎えに来たのかと思いましたが、なんとそこにいたのは、東京にいるはずの真生ちゃんのお母さんだったのです。

(見所)
・いじめっ子の名前判明。藤本さんキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
・・・・・・と思ったら、辻本さんだった。惜しい!!w
・この頃の雅たん、ケバいよなー。
・この頃の桃子は、当時ちゃんと映画を見てたら好きになったかもだけど・・・雅たんは・・・w





―喫茶店のテラス(夕方)―


「実はね。真生に、水着を買ってきたの」そう言ってお母さんは真生ちゃんに、水着の入った紙袋を渡しました。真生ちゃんに『貢物』を献上するのは、もはやこの映画のデフォなのです。
そして貢物でまず、真生ちゃんの機嫌を取ったママは、いよいよ本題を切り出すのでした。
「あのね、ママとパパ。やっぱり決めたの」
そう言って語りだすママに、真生ちゃんは答えます。「知ってる。こないだお兄ちゃんが、電話で言ってた」
そうです。ついに真生ちゃんのママとパパの離婚が正式に決まったのです。
と同時に、真生ちゃんは心の中である決意をしたのでした。
「私ね、パパのいる富山に行こうかなって・・・。パパと一緒に暮らそうって、決めたの」
そんな真生ちゃんの言葉に、ママは言葉を失います。「真生・・・」
ですが、真生ちゃんはもう、強く心に決めていたのでした。「ママにはお兄ちゃんがいる。でも、パパは一人ぼっちでしょ・・・」
そう。ダンといい千佳ちゃんといいパパといい・・・。真生ちゃんはなんだかんだ言いつつも、いつだって強者にたて突き弱者に味方をする、真生教の教祖様なのです。
そんな真生ちゃんに、思わずママは胸を詰まらせます。
「真生は短い間に、随分頼もしくなったのね」「うん・・・」真生ちゃんは頷きます。そう、そりゃ頼もしくもなりますよ。だって。真生ちゃんはこの短い間に色々あったのですから。
思わず真生ちゃんは、この数週間の思い出を胸に馳せるのでした。
そう、この数週間――。
舞美お嬢様がウザかったり、千佳ちゃんがイジメられてたり、舞美お嬢様がウザかったり、千佳ちゃんが行方不明になったり、舞美お嬢様がウザかったり、千佳ちゃんがワガママだったり、舞美お嬢様が・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
真生ちゃんは思いを馳せてるうちになんだか滅入ってきたので、とりあえずママに甘えることにしました。
「ママ・・・。好きだよ」「え?」「・・・・・・・・大好き!」
そんな真生ちゃんの言葉に、ママは嬉しくって思わず真生ちゃんを抱きしめます。そしてそんなママに抱かれながら、「やっぱりヘタレのパパのトコなんて選ばなきゃ良かったかなぁ〜」・・・と、少なからず後悔の念を抱かずにはいられない、真生ちゃんなのでした。

(見所)
・このシーンの桃子は、お母さんに負けない名演技です。
・ル ’ー’リ<ママ、好きだよ。・・・・大好き!!
・はい、桃子ヲタ撃沈!






―山奥の河川(朝)―


真生ちゃんは千佳ちゃんを連れ、群馬の山奥へとやってきました。
ヘタレとの友情ごっこもこれで最後。最後の記念にと、千佳ちゃんと一緒にハイキングにやってきたのでした。
気持ちよさそうに河川で寝っ転がる真生ちゃん。不意に、「千佳ちゃん」と呼びかけます。
怪訝そうに振り返る千佳ちゃん。真生ちゃんはゆっくりと体を起こし言うのでした。
「私、二学期はもう、ここにいないんだ。富山に行くの」「パパのとこ?」「うん。また転校するの」
すると、やっぱりヘタレの千佳ちゃんは、ダダをこねます。「いやだ、転校しないで。真生ちゃん・・・」人間が助けてあげないと生きていけないダンと一緒で、千佳ちゃんも真生ちゃんが助けてあげないと生きていけそうもありません。
なので千佳ちゃんは、真生ちゃんの転校を拒絶します。ですが、さすがの真生ちゃんも、今度ばかりは千佳ちゃんのワガママを聞いちゃいられません。
「ごめんね」そう言って真生ちゃんは、淡々と言葉を続けるのでした。
「でも、誰が私を必要としてるか・・・やっと解ったの」
ママにはお兄ちゃんがいる。千佳ちゃんにはダンがいる。そしてパパには・・・。つまり、そういうことなのです。真生ちゃんは理解して欲しいとばかりに千佳ちゃんの目をじっとみつめるのでした。
ですが、ヘタレの千佳ちゃんは頭もヘタレなので、あまり真生ちゃんの言う意味を理解してない様子です。
「きっと真生ちゃんにも・・・パパが必要なんだね」と、まったく逆の事を言い出します。
真生ちゃんは思わず心の中で突っ込みます。誰が私を必要としてるか・・・言うてるのに、なんでオレがパパを必要としてるって話になるんだっつーの!逆だろ!!
最後まで分からず屋の千佳ちゃんに、いい加減頭の痛い真生ちゃんですが、「うん、そうだね・・・」せめてもの餞です。千佳ちゃんの言葉に真生ちゃんは同調してあげるのでした。
すると・・・「ねぇ、真生ちゃん。千佳のこと・・・忘れないで」千佳ちゃんは言います。
正直、こんな歴史的ヘタレキャラ、忘れたくても忘れられねーよ!!って感じですが・・・最後ぐらいはやっぱ、綺麗に終わりたいですよね?真生ちゃんは深く頷きます。
「忘れない。短い間でも・・・ホントの友達は出来るんだよね」
そして、真生ちゃんは最後に言うのでした。
「千佳ちゃんだけには、お別れ、言っておきたかったの・・・」
なぜなら、お別れ言わずに引越しなんてした日にゃぁ、『ダンを追って徒歩で栃木プレイ』をした千佳ちゃんです。ヘタすりゃ『真生ちゃん追って徒歩で富山プレイ』すらもしかねません。そんなことをされたら、真生ちゃんが大迷惑なので、あらかじめお別れを言うことで釘を打っておこうと思ったのです。
しかし。
「真生ちゃ〜ん・・・」結局、千佳ちゃんはお別れの悲しさのあまり泣き出してしまいました。そんな千佳ちゃんを見つめ、真生ちゃんは仕方なく答えます。「ダメ。泣かないで。サヨナラじゃないから・・・」
ホントは永遠のサヨナラでもいいのですが。やっぱり真生ちゃんはヘタレの救世主なのです。またいつか会えることを匂わし、千佳ちゃんをなぐさめるのでした。その言葉を聞き、頷く千佳ちゃん。
やがて真生ちゃんは再び、河川に寝っ転がり、空を見上げます。そして、「まぁ。またいつかここに戻ってきて、このヘタレとたまには会ってもいいかなぁー」なーんて事をぼんやり思いながら、真生ちゃんはゆっくり目を閉じるのでした。

(見所)
・しみハムと桃子のお別れシーン
・おねーさんズ史(なんだそりゃ)に残る名シーン
・つり橋を渡るときもすでに、桃子がしみハムを先導
・この頃に2人の立場関係が(ry
・ル ’‐’リ<忘れない。短い間でも、本当の友達は出来るんだよね・・・
・このシーンの桃子はカッコイイぞー!
・川 ´;・_・;`リ<真生ちゃーん・・・
・泣くなしみハム。これからは1人で頑張りなさい
・ル ’ー’リ<ダメ。泣かないで。サヨナラじゃないから・・・
・そんな2人は、子犬ダン以来の腐れ縁です。






―おじいちゃんの家(昼)―

真生ちゃんはパパと一緒に、お世話になったおじさん一家に挨拶をすることにしました。
「また、遊びにおいでよ」初日、真生ちゃんが来たことをウザがってたくせに、おじさんは、ぬけしゃーしゃーとそんなことを言います。
真生ちゃんの味方はおじいちゃんと梨華ちゃんだけだったのに・・・社交辞令ウザー!そんな事を思いつつ内心、チッ!と舌打ちする真生ちゃんですが、ふとその味方の2人がいない事に気づきます。「あれ?おじいちゃんは?」
そうです。おじいちゃんは、真生ちゃんとのお別れが悲しすぎて、家の奥に引っ込んでしまっていたのです。
「真生ちゃん、行っちゃうよ!」梨華ちゃんはおじいちゃんを表に連れ出そうとしますが、じいちゃんは頑として聞きません。「ワシは見送らん!」すると、「おじいちゃん」真生ちゃんが自らおじいちゃんの元へと乗り込んできたのでした。
いくら面会を拒まれてるとは言え、一宿一飯の恩に対し、礼節を返さないのは義に欠けると言うものです。
「私、おじいちゃんのこと、忘れないよ」そう言って真生ちゃんは、おじいちゃんへと駆け寄り、肩を叩いてあげるのでした。
「97、98、99、100!」一宿一飯の恩に対し、肩たたき100回で返す真生ちゃん。姉さんの誕生日プレゼントをちゃっかり肩たたき券で済ます、カツオ君みたいなヤツです。
しかも、肩たたき100回を「97からスタート」させると言う、物凄いサバの読みっぷり。実質、肩たたき4回です。25分の1です。いくらおじいちゃんが痴呆気味だからって、こりゃあんまりです。
ですが、おじいちゃんは本格的にボケが来ちゃってるらしく、真生ちゃんの優しさに感動の余り泣いてしまいます。
「さようなら!」真生ちゃんが言うと、「真生も達者でな・・・」おじいちゃんは答え、涙に暮れます。
そして梨華ちゃんは、そんな2人の「ボケ老人コント」を見ながら、何故か思わず、つられ泣きをしてしまうのでした。

(見所)
・ラス前に石川キタ━━━(゚∀゚)━━━!!棒読みキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
・桃子はシーンをこなすごとに上達してるのに、この女は・・・orz
・まぁこれでこそ、梨華ちゃん!って感じだけどな。
・ル ’ー’リつ<おじーちゃん。長生きしてね(ハート
・100回の肩たたきを97からはじめると言う、見事なサバの読みっぷり。
・ジジイ相手でも容赦なしです。
・最後に言わせてくれ。・・・・・・・・・・・・石川、黒っ!!!!





―バスの中(昼)―

真生ちゃんとパパは群馬を離れるためにバスに乗り込みました。
ですが、ようやく慣れ親しんだ土地を離れ、このヘタレ親父と見知らぬ土地で暮らすことになんとなく不安を感じずにはいられませんでした。すると、そんな真生ちゃんを見てパパは言います。「東京でママやお兄ちゃんと暮らしてた頃のようにはいかないが・・・いいじゃないか。2人でも立派な家族だ」
なんだか根拠もへったくれもないパパのセリフに、微妙な気持ちは拭えませんが、真生ちゃんはとりあえず頷きます。「そう…。そうだよね」
なんとなく気持ちが晴れないまま、ボーっと椅子に座っている真生ちゃん。すると――。
「真生ちゃーん!」
どっかで聞き覚えのあるヘタレ声が真生ちゃんの耳に聞こえてきます。そう、千佳ちゃんの声です。
不安の余り、ついにヘタレの幻聴を聞くようになるたぁ、オレもヤキが回ったな・・・。真生ちゃんは思いました。ですが、ヘタレの幻聴は徐々に大きくなります。「・・・・・・?!」一瞬の間の後、真生ちゃんはハッとします。それは幻聴ではなかったのでした。
バスの窓を大きく開けると、窓の外には千佳ちゃんと舞美お嬢様と不快な下僕ども。・・・あと、なんか脇役の人たちが一杯、川原に佇み、真生ちゃんに手をふっているじゃないですか!
真生ちゃんは思わず身を乗り出します。「みんなありがとう!ずっとずっと、友達でいようねー!」
叔父さんの社交辞令ぶりに腹立てていた真生ちゃんですが、思わず自分も社交辞令な事をいってしまいます。すると、そんな真生ちゃんの言葉を受けたのか、あのヘタレの千佳ちゃんが、なんと・・・「ありがとう」真生ちゃんにお礼を言うではないですか!!
どれだけ真生ちゃんが面倒見てあげても、礼の一つも言えなかったあの太眉毛が!!
ヘタレの成長ぶりに、真生ちゃんは思わず涙を零します。「さようならーー!!」なんだか嬉しくてテンパッてしまった真生ちゃんは、みんなの姿が消えるまで手をふり続けるのでした。そしてみんなを見ながら、自分の気苦労は無駄ではなかった事を痛感するのでした。
やがて、みんなの姿が見えなくなります。それを思い・・・
―――みんなとまた会えるといいよな。
そんな事を思いながら俯く真生ちゃんもまた、ヘタレの千佳ちゃんのお陰で成長出来た何よりの証なのかもしれませんでした。

(見所)
・バスに乗って群馬を離れる桃子
・帽子がとってもお似合いです。鈴木淑子並にお似合いです
・鈴木淑子を知らない方は、お近くの競馬オヤジに聞いてください
・つーか、このクールな子が、将来あんなにぶりっ子キャラになるとは誰も予想しないよなぁー。
・川原からバスに向かって手をふり続ける友達たち。お約束且つ、感動的なシーンです。
・そして最後は桃子の涙でシメ!!!
・あーーー。おもしろかったw



ル*’ー’リ<真夜中の子犬ダン・リターンズ――終了。みなさん楽しんでいただけましたか?
      ちなみに「真夜中の子犬ダン・リターンズ」の意味は、「真夜中にリピーター(2回目以降)で子犬ダンを見る」と
      異常に楽しいですよと言う意味からです。是非みなさんも、真夜中に子犬ダンをリピーターしてくださいね(ハート






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