このお話は、食を求めハロプロに入った、野獣の如き女の子と、

その女の子に虐げられる定めにある、小動物の如き女の子の、熱き戦いの記録である・・・。



oh oh oh 友情 oh oh oh 青春 oh oh oh 純情 every day & night♪ (OPテーマ 友情 純情 oh 青春)



  ーハロープロジェクト Xー



それは11月28日。
テレビ東京の人気番組「ハローモーニング」での出来事であった。
ハロープロジェクトメンバー総勢39名の中で、一際、その目を輝かす1人の少女が居た。

 彼女の名は、嗣永桃子

 そして彼女こそが、今回の「ハロープロジェクトX」の主役である。

 我々取材陣は、彼女に密着取材を敢行し、彼女の動向を探る事にした。

 そして彼女を追ううちに、我々は、

 彼女の本当の恐ろしさを、目の当たりにする事となる・・・。




この日のハローモーニングは、
ハロプロオールメンバーによる初のCD「ALL FOR ONE&ONE FOR ALL」の発売に先駆け、
ハロプロメンバー総勢39名(残念ながら、非ベリのキッズは仕事の関係で欠席となっている)による
チーム対抗、ゲームバトルであった。

・・・・バトル。

その言葉を聞き、我々取材陣は一斉に固唾を飲んだ。
嗣永桃子。
彼女の野獣性を知る上で、チーム対抗バトルほどうってつけの企画はあるまい。
我々は、神やテレ東の思し召しに感謝をしつつ、引き続き彼女の動向を探ることにした。



そしてまず最初に、彼女がその猛々しい姿で我々取材陣の前に姿を現したのは、
「ベリーズ工房対抗、エアロバイク耐久レース」の折であった。

 向かって一番左にいる少女。彼女こそ、

 我々が、その神秘なる生態系を長年追い求めて止まない、

 貪欲なる野獣、嗣永桃子である。

 その小さな体とは裏腹、その自信に満ちた眼差し

 今にも食ってかからんとするその風体に、

 我々はある種、畏怖に近い恐怖の様なモノを感じていた。 


 
・・・・・だが。

嗣永桃子・・・・・・彼女だけではない。
ここで皆さんに注目して貰いたい人物が、もう一人いるのだ。

一番右端に控えめに佇む少女。

彼女の名は石村舞波

どことなく目立たない、地味目の女の子。
だが、彼女の顔と名前を是非、あなた方の心に留めておいて貰いたい。

何故なら、彼女こそがこの番組のもう1人の主役であり、
嗣永桃子を語る上で・・・なくてはならない最重要人物である。



もう一度、言おう・・・・



この番組は、食を求めハロプロに入った、野獣の如き女の子と、

その女の子に虐げられる定めにある、小動物の如き女の子の、熱き戦いの記録である・・・。


・・・・では、話の続きに戻ろう。

嗣永桃子。
彼女は、その他のベリーズ工房のメンバーと共に、エアロバイク耐久レースで勝負する事となった。

エアロバイク耐久レースのルールは、実に簡潔である。
決められた時間内に、一番多くの距離をこぐ事が出来たチームが勝利となる。

そう、このレースはベリーズ8人がペア4チームに別れての、勝負となる。
4チームはそれぞれ、「モーニング娘。チーム」「美勇伝チーム」「松浦・Wチーム」「後藤・メロンチーム」に分離される。



果たして嗣永桃子は、どのチームの所属となるのか・・・?



注目の組み分け。
我々取材班が息を潜め見守る中、運命は彼女たちの手によって引き寄せられた。



 松浦亜弥&Wチーム。

 よもや世紀のアイドル松浦亜弥が、野獣を引き当てるとは・・・。

 それだけでも我々には充分な驚きであった。

 しかし、真の驚愕はそれだけではなかったのだ!!

 奇しくもベリーズ3トップ&キャプテンが

 見事に4チームに分離される結果。なんと言う偶然!!!

 そしてこのチーム編成が、彼女の更なる野獣性を弾き出す引き金となる。 


試合直前、定位置に着く、嗣永桃子とその他のメンバー。
まずここで、嗣永桃子以外のメンバーにも、ひとつ注目してもらいたい。

 一番左。彼女は菅谷梨沙子。
 言わずと知れたベリーズの一番人気だ。

 そして左から二番目。夏焼雅。
 歌良し顔良し踊り良し。ベリーズ最大の実力派。

 そして一番右端。彼女は須藤茉麻。
 小6にして握力23s、ベリーズ1のパワーファイター。

 最後に右から二番目、嗣永桃子・・・・。
 この番組の主役にして、ベリーズ最強の生物。


・・・・そう、懸命な視聴者の皆様ならお解かりだろうか?
ベリーズの各部門のナンバー1が一同に集うこのレース。
つまりこのレースこそが、事実上、ベリーズ最強王決定戦となるのだ!!!





・・・・・・・・・・・・しかし。





我々の思惑とは裏腹に。現実は、そうではなかった。
何故なら、我々取材班が思っていた以上に・・・・嗣永桃子。
彼女の野獣性は、他を超越していたのだ。

そう・・・。

ベリーズの一番人気、菅谷梨沙子も。ベリーズ最大の実力派、夏焼雅も。
こと、エアロバイク耐久レースに於いては残念ながら、
最強生物、嗣永桃子と、パワーファイター須藤茉麻の敵ではなかったのだ。
 


 運転手つきロールスの後部座席にしか乗ったことのない、
 超の付くお嬢様、菅谷梨沙子。

 電動付き自転車にしか乗ったことのない、
 上流家庭の愛娘、夏焼雅。

 エアロバイクを漕ぐ姿すら、ろくに様にならない2人。
 この2人が嗣永、須藤の敵になるはずもなかった。
 



その一方で・・・・・・。

 皆の者、見よ!!・・・・まるで、

 「自転車は魂で漕げ!!!」

 そう我々に吠えかかるかの様な、嗣永桃子の必死の形相を。
 
 大きくなっても、自転車を無駄に乗り換えないで済む様に、

 幼少の頃から、足の付かない大人用自転車を漕ぎ続けてきた彼女。
 
 雨風で錆び付いたペダルを、幾度となく力任せに漕いできたその足。


パワーファイター須藤をも怯ます、その漕ぎっぷりは・・・

これぞまさしく、野性の証明!!

 そして注目の中間発表に、我々取材班は度肝を抜かれたのだった・・・。

 なんと菅谷を3km、夏焼を2.3km。

 須藤すらをも600mブッちぎっての、嗣永ダントツトップ。

 茉麻より15cmも低い身長で、漕いで漕いで漕ぎまくった。

 その健気でひたむきな姿。それは彼女の野獣性との表裏一体。

 嗣永桃子。実に、興味深い生物と言えよう・・・。


そして。
このまま圧倒的な力で、ブッちぎりのTOPを独走し続けると思われた、嗣永であったが・・・
だが、しかし!!
ここに来て、我々取材班の前で予想だにしない展開が待ち受けていた・・・。

そう、いくら野獣とはいえ、一時間もの間、1人で漕ぎ続けているワケにはいかない。
この競技は「ペア戦」なのだ。
そして彼女には、松浦亜弥の導きにより、同じチームのペアとなったメンバーが存在していた。




彼女の名は石村舞波!!!




そう、エアロバイク戦の勝利の行方は・・・
嗣永から、石村へと引き継がれることとなった。


だが!


野獣嗣永は、ただ黙って、勝利の行方を見守っているだけの女ではない。
それは我々取材班も、重々承知の上であった。
何故なら彼女は、自ら前線に赴き戦に参加するよりも、舞台の司令塔に立ってこそ、
その秘められた野獣性の真価を発揮することが出来る、極めて奇特な存在なのだ。

そして、ひたすら嗣永を追い続けているうちに
我々取材班のカメラに、その「野獣性」を証明するべく、貴重な証拠映像が残されていた。



 ル ’ー’リ<もしも抜かされたら・・・どうなるか解ってるよね?  

 後からそんな脅し文句でも、ふっかけられたのだろうか?

 舞波の後ろ。

 不敵な笑顔で微笑む嗣永と、
  
 迫りくる恐怖に、その表情を強張らせる石村の映像だ。

 

 そして、その後の石村は、尋常ではなかった・・・。

 体も小さく細く、どうみても脆弱な石村だが、

 まるで何から逃れるかのように、力の限りにペダルを漕ぐ。

 そんな石村の後ろには・・・嗣永。

 石村は果たして何から逃れるべく、死に物狂いでペダルを漕いでいたのか。

 残念ながら我々取材班には、憶測以上の答えはこれ以上得られそうにはない。




真相は、石村舞波。彼女のみが知っている・・・・



そして。
長い戦いが終わり・・・ついにエアロバイク耐久レースの結果発表の時が来た。
石村舞波へのバトンタッチもあったが、恐らく嗣永桃子がこのレース、見事に勝利を収めるに違いない。
我々取材班は、そんな確信に満ちた思いで結果発表を待ち受けていた。



・・・・・だが。


  
    ル ’‐’リ<・・・・・・・・・・・・・。           Σ ル;’‐’リ<!!!!?


結果を待ち受ける我々の目に飛び込んできた、嗣永の奇妙な動向。
彼女は何かを見た瞬間、明らかに野獣の目に「狼狽」を孕んでいた。

一体、嗣永は何を見たのか?

我々取材班は真相を探るべく、その後も嗣永から片時も目を離さず、その動向を見守り続けた。
すると・・・・。

   
         左・・・                        右・・・


   
       ・・・左                         ・・・右

やはり我々の目に狂いはなかった・・・。
嗣永は間違いなく、「何か」に狼狽し、しきりにソレを気にしていた。
しかし、野獣をこれだけ狼狽させる何かとは一体なんであろうか?


狼狽する嗣永、戸惑う取材班。


だが・・・我々取材班の中の1人が、とあることに気づいた。
嗣永の目線が明らかに、両チームのエアロバイクの一部分を見比べていると言うのだ。
それに気づいた時、我ら取材班はこの嗣永の動向に対し、ある仮説を立てることが出来た。







「もしや嗣永は、双方のエアロバイクの走行距離を見ているのではないか?」







そう。その仮説に気づいた時・・・
我々はこのエアロバイク耐久レースの劇的な結末を、すぐさま察することが出来た。
明らかに喜びの欠片もない、嗣永の表情。
信じられないといった様子で、何度も走行距離を見比べる嗣永。

そして・・・・

 呑気に笑っている舞波を見る・・・

 嗣永の野獣のような瞳!!!

 まだ結果は出ていない・・・。

 だが、長年嗣永を追い続ける我々取材班には、

 この勝負の結末は、一目瞭然であった。





 菅谷&徳永チーム・・・21.8km

 夏焼&熊井チーム・・・22.3km

 嗣永&石村チーム・・・27.2km

 須藤&清水チーム・・・27.4km


 わずか200メートルの差。届かぬ200メートル。

 嗣永と石村チームは、清水、須藤チームに

 屈辱の逆転負けを喫していたのだ。




 満面の笑みで勝利の喜びを伝える、須藤と清水。

 この時、嗣永はどんな表情をしていたであろうか?

 我々取材班には、決して知りえる事は出来ない。

 だが、一度は負かしていた筈の、パワーファイター須藤に逆転された屈辱。

 もし、ペアの相手が舞波じゃなければ・・・もしや。

 嗣永の真意も、勿論、我々取材班の知りえる所ではなかった。


そして嗣永&石村ペアの戦いの舞台は、スタジオへと移された。
引き続き「松浦&Wチーム」のメンバーとして、最終対決へと挑むのであった。

最終対決の舞台は、「芸能人、2択クイズ」だ。

有名芸能人のエピソードとして、正解の方を選ぶだけの単純なクイズ。


 前回、逆転負けを喫し・・・

 明らかに不機嫌丸出しの嗣永。

 前回、嗣永の足を引っ張る形になってしまい、

 明らかに肩身の狭い舞波。

 これ以上、野獣の怒りに触れないためにも・・・

 石村はこれ以上、負けるわけにいかなかった。



「第1問目は、原口がさんまと初めて会ったときの、第一声は?」と言う問題。

力で勝ち取る戦いなれば、どこまでも全力を尽くす野獣嗣永だが、こればっかりは運頼みの戦いだ。

嗣永は勝負の行方を、石村に託した。

 ル ’‐’リ<さっきお前のせいで逆転されたんだ。今度はお前が当てろよ。

 从; ’w’)<・・・・・・・え?

 そんなやり取りでも行われたのだろうか・・・?
 
 戸惑い気味の石村と、これっぽっちも答えを考える様子のない嗣永。

 野獣のプレッシャーが、小動物の両の肩に圧し掛かる。

 今にも潰れてしまいそうな、か細い小動物の体。




そんな石村が、考え考えあぐねた末、出した答えは


そしてその答えは・・・・






 ル ’‐’リ ジー


                    从l|l’w’)<・・・・・・・・






長年、嗣永を追い続けてきた我々取材班だが・・・・
これほどまでに緊迫した空気は初めてかもしれない。


後から威嚇し続ける、野獣。


恐怖に捕らわれ逃げることの出来ない、小動物。


だが。自然界の掟を踏みにじるわけには行かぬ我々取材班は、小動物に手助けをすることは許されない。
ただ小動物が無事でいてくれる事を、固唾をのんで祈り続けるしかないのだ。




しかし、ここで奇跡が起こった!




1問目は野獣というプレッシャーに押しつぶされ、失態を犯してしまった小動物だったが・・・
2問目に、やはり嗣永に答えを託された石村。
そんな石村が選んだ答えは、1問目と同じく


そして、2問目の正解は・・・・


 (●´ー`)<Bが正解でーす!

 その瞬間、
 野獣の瞳に、コーナー入って以来、初めての笑顔が!!!
 そう・・・。我々取材班は、
 いつだって野獣の魅力に捕らわれ、その姿を追い続けている。
 なぜなら、
 この野獣は、獣を射るような強い眼差しだけではないのだ。
 時に愛玩犬の様な愛らしさで微笑むこともある。
 神秘なる生物。
 そんな言葉が、この少女にはピッタリなのかもしれない・・・。



そして、全ての戦いが終了した・・・。
最後に待っていたのは、4チーム対抗バトルの結果発表であった。
 
 モーニング娘。チームが170点。

 そして、嗣永が所属する松浦&Wチームが160点。

 なんと・・・エアロバイク耐久レースに引き続き、

 またも僅差で逆転負けの結果に終わった、松浦チーム。

 諦めの中に悔しさを秘めた嗣永の表情。

 野獣らしからぬ哀愁漂う表情。だが、その表情にも理由があった。



・・・・・・・そう。


以前、我々取材班はとある雑誌に於いて、「ある発言」をする嗣永桃子を目撃していた。
その発言とは・・・。


Q.芸能界に憧れるようになったきっかけは?

ル ’ー’リ<辻さんと加護さんがテレビでおいしいものをいっぱい食べてるのを見て、
       私も食べたいなあって思ったのが動機です


テレビでおいしいものをいっぱい・・・。
恐らく、彼女が見ていたテレビとは、ハローモーニングの事に相違ない。
そして辻と加護が食べていたおいしいもの・・・それは、
これら対戦ゲームにおける、優勝賞品食べ物であったと、我々取材班は予想を立てたのだ。

そう。
嗣永桃子の哀愁に満ちたまなざしの理由・・・それは






 OH!肉!!登場!!!!







元来、食を求めハロプロに加入した、嗣永桃子。
そしてそんな嗣永がようやく手にした、ハロプロゲーム参加の権利。
しいてはお肉GET!への夢の架け橋。

しかし、無残にも優勝賞品GETの夢は、絶たれてしまった。

我々取材班とて、彼女の無念を思うと残念で仕方がない。
是が非でも勝たせてあげたかった。

 

神戸牛を初めて食べたという、徳永・・・。
だが、国産牛すらも一度も食べたことがないであろう嗣永に、食べさせてあげたかった・・・。


 州*‘ o‘リ<りしゃこ、神戸牛初めてだもーん

 松坂牛しか食べたことがないので、

 神戸牛は今日、初めて食べた菅谷・・・。

 何故、金持ちばかりが報われるのであろうか?

 我々取材班は、やり場のない憤りを感じていた。



 
 お腹を空かせた野獣が見つめる先には、神戸肉。

 さながら「おあずけ」をされる大型犬の様な、切ないまなざし。

 思わず抱きしめてあげたくなる、いたいけな瞳。

 だが、我々が抱くセンチメンタルな感情。そんなモノは野獣に必要なかったのだ。

 そう、嗣永は我々が思ってる以上に

 強く逞しい・・・獣の中の獣。百獣の王なのである。




 ル ’‐’リ<神戸牛ってさ・・・兵庫県の神戸だよね?

 从 ’w’)<うん。多分・・・そうじゃないかな?

 ル ’ー’リ<あぁ、だったらさ、桃がいつも食べてるお肉のほうが凄いじゃん

 从 ’w’)<え?

 ル*’ー’リ<桃んちのお肉、オーストラリアだもん。外国のが神戸より凄いよね?

 从;’w’)<え?・・・そ、そうなのかな?



 ル ’ー’リ<そーだよ。だって世界は日本よりずっと遠くて、ずっと広いんだから!!(自信たっぷり)




夢なら どんな時も 描けば良いから さあ 誰よりもどでかく!

想像するから ほら そっから始まってく さあ 来たね 時代が!!

oh oh oh 友情 oh oh oh 青春 oh oh oh 純情 every day & night♪ (EDテーマ 友情 純情 oh 青春)




そう・・・このお話は。

食を求めハロプロに入った、野獣の如き女の子と、

その女の子に虐げられる定めにある、小動物の如き女の子の、熱き戦いの記録である・・・。



つづけ!!