オレがそう言うと、アイツは一瞬、オレの顔を見て戸惑った。
でも、優しく笑いかけると・・・意を決して、アイツの元へ走り出したんだ。
こうして。オレは結局、1人になった。
梅雨空の寒さが身に染みるぜ・・・。
きっと今頃、あの2人は仲直りして、仲良くやってるんだと思う。
アイツの想いが叶えばいいな。
バカで不器用なオレ。自ら恋を棒に振るうなんて――。
今は部屋にも戻りたくない。
どうせルームメイトのアイツはいないし、戻ってきたら戻って来たで・・・
2人の間で何があったかなんて聞きたくない。
オレは、1人身の寂しさを紛らす為、図書館に行った。
誰も居ない薄暗い図書館。
すると、そこには昔のベリ高生が書いたのか・・・・
自作の同人誌には、1つの自伝の恋愛小説が載っていた。
ベリ高に通っていたものの、心半ばで退学。
地味で存在感が薄くて歴史ヲタクだった自分は、
ベリ高で同じ部活にいた、大好きだった優しい先輩に、結局なに1つ伝えることの出来なかった
悲壮なる思いを描いた作品だった。
そう・・・。
実る恋あらば、実らぬ恋だってある。
全ての人が思いを叶えられるワケではなく、幸せの裏側には涙を呑む人間も必ず居る。
それが人生。それが青春なんだ!!!
そして。
昔のベリ高生の自伝小説には、
最後に一言、こんな言葉が綴られていた。
それは、美しくも物悲しい、
まるでゲーテの詩の様な荘厳の調べに、少なくともオレは・・・感じたんだ。
「おしまいは・・・。」